【レポート】8/28 「ワールド・カフェのつくりかた」1Dayワークショップ開催レポート
開催概要
●タイトル:「ワールド・カフェのつくりかた」1Dayワークショップ
●主催: ワールド・カフェ・ウィーク実行委員会
●日時: 2010年8月28日(土) 10:00~18:00
●場所: 豊島区立舞台芸術交流センター あうるすぽっと 会議室B
●参加人数: 27名+ホスト3名(ワールド・カフェ・ウィーク実行委員会 中川繁勝、坂井裕紀、大前みどり)
●開催意図
私たちが月に一度ほど開催をしているワールド・カフェには、今年から「ワールド・カフェの体験がはじめての方」の参加が格段に増えてきました。その方々の参加の動機は、今働いている会社や住んでいる地域、学校の現場で、「ワールド・カフェを取り入れたい。活用したい」というものが多いです。
そういったみなさんの要望や、ワールド・カフェ・ウィーク活動目的のうちの一つでもある「場をつくる人を増やす」ということをかなえるため、ワールド・カフェのホスト向けのワークショップを企画しました。
このワークショップでは「教える」のではなく、参加者同士が様々な疑問や悩みを共有し、経験談や意見を交換しながら、気づき、学んでもらう場となるようプロセスデザインをしました。
以下、当日の様子です。
当日の様子
毎日暑い日が続く中、休日のこの日はハワイアンのBGMをかけながら、アロハシャツのファシリテーター(中川)がお出迎えしました。
▼オリエンテーション
冒頭に一日の内容や、ワールド・カフェ・ウィークの目的の説明などをお伝えし、そのあとは参加者同士の自己紹介タイム。初めて会った人同士で4人一組になり、「名前」「仕事」「今日の参加理由」「この夏の思い出」をお話していただきました。今回は、遠方からは岩手県の盛岡から中学校の教員の方、宮城県の仙台から福祉関係のイベントでワールド・カフェをやりたいという方、京都からは学習塾の社員の方が新しい教育のスタイルとしてワールド・カフェを使っていけないか?という目的でそれぞれ参加してくださいました。その他、学生の方や人材育成に関わられる方、地域のNPO団体で活動している方など、様々な分野で精力的に活動をされている方々27名が集まりました。
▼イントロダクション
自己紹介の後は、「ワールドカフェとは」「ワールドカフェの成り立ち」について簡単に解説。また、WEBで公開されているワールド・カフェの提唱者アニータ・ブラウンの動画を視聴しました。
▼目的を考える
ワールド・カフェをホストするときにはやはり「目的が何なのか」が一番大事です。企画シートを活用しながらこれから開催しようとしているワールド・カフェや、やってみたいワールドカフェの目的を記入していただきました。その後4人組みになって簡単に共有。すでに開催する予定があったり、「こういうワールド・カフェをやりたい!」という具体的なイメージを持っていたりする方が多かったです。このように目的をはっきりさせておくことは一番大切な最初のステップであり、開催のプロセスにおいて今やろうとしていることが目的にそっているかどうかを立ち返って確認していくためにも重要です。
▼会場を手配する
続いて、その目的を実現できるようなワールド・カフェをどんな会場で行うのか?について。ワールド・カフェのホストが一番大切にしなくてはいけないのはおもてなしの心です。参加者の方々が安心安全な雰囲気の中で自由に話せるには?どんな場所だったらみんなが話しやすくなれるんだろう?先程書いた自分の目的に照らしながらそれぞれどんな場所で開催するかについて考えていただきました。
▼会場のセッティング
ランチ明けの午後からは隣の部屋と合体して会場を広く使えるので、まずはみんなでワールド・カフェ会場のセッティング。テーブルを配置するときにどんなことに気をつける必要があるのか。テーブルデコレーションはどんなふうに置くと参加者をもてなせるのか。体験をしながらの実践です。また、午前中で気になったことや質問を大き目のポストイットにその都度書いていただいていたで、それも集めて壁に張り出しました。
▼告知する
午前中に目的や会場について考えたので、続いて参加者に知らせる告知に関して。いったいどのくらいの参加者の方に、どんなタイトルやテーマで呼びかけるのか。会費は必要なのか。他にどんなことを伝える必要があるのか。実際に企画シートに記入していきながら、どんどんつめていきます。ワールド・カフェのタイトルはその会の看板にあたるもの。そしてテーマはそのときに何について話し合うのか。告知文を誰に向けて書くのかを明確にして、その人に向けて書くつもりで準備します。このとき、主催側が独りよがりにならずに読み手が純粋にどう思うか、誰かに見てもらってフィードバックをもらうようにするとよいですね。
▼ワールド・カフェの詳細検討
引き続きワールド・カフェ当日の内容についてです。ワールド・カフェではおもてなしの心と同様に問いが大切です。アニータ・ブラウンが言う「力強い問い」とは何か?みんなで考えてみました。シンプルで明確な問い、何が聞かれているかがはっきりわかる問い、参加者が話したいと思う問い、発想を促す問い、誰もがイメージしやすい問い、ある特定の人だけがわかるのではなくて全員で話せる問い、自分の中でつながりがわいてくるような問い、場が活性化する問い 話がもりあがる問い、エネルギーが沸いてくる問いといろいろ出ました。
では、どんな問いがエネルギーが湧いてくる問いなのでしょうか?前向きさがある、わくわくする、好きなテーマである、未来に向かって楽しくなる、それが実現したらいいだろうなとみんながイメージできるような問い、とこちらも様々な意見が出ました。さらに、なぜエネルギーが湧いてくる問いが必要なんでしょうか?という投げかけには、エネルギーや力強さというのは対話の場を進めていく力になるという声があがりました。
問いについて考えた後は、会場のセッティング、テーブルの上に置くものについてもアイデア交換。場づくりの一番の目的は話しやすい雰囲気をどうつくるか、です。企画シートの場づくりの欄に、どんな場にするのか、来た人をどんな風にお迎えするのか、参加者同士にどう関わってもらうのか、について自分はどうしたいのか、思いつくものをどんどん記入し、グループの中でシェアしていただきました。ここではたくさんのユニークなアイデアが共有できました。
▼Q&A
ここまでのところででた質問について、ファシリテーターやスタッフがお答えしたり、参加者の中からも意見が出ました。
・クッシュボール(トーキングオブジェクト)は何に使うのか?
・模造紙に描いてもらうことを促すにはどうしたらいいか?
・ワールド・カフェが終わった後の模造紙はどうしているのか?
・ワールド・カフェを使って職場の中で人間関係を深めるのには段階があるのではないか?
などの質問が出ました。
▼ワールド・カフェ
ここで実際にワールド・カフェを体験していただきました。「ワールド・カフェをつくるためのワールド・カフェ」です。最初に簡単にワールド・カフェのやり方を説明し早速1ラウンド目へ。1ラウンド目の問いは、「ワールド・カフェを開催するにあたり事前に準備しておくことは何だろう?」です。午前中からここまでふれた内容の復習のような感じでみなさんにもう一度確認をしていただきました。やり方、手法にこだわるのではなく、みなさんしっかりと「何のためにワールド・カフェをするのか」という部分についてしっかりお話をされていました。2,3ラウンド目の問いは、「ワールド・カフェ当日にするべきことは何だろう?」です。「おもてなしの心」や「話しやすい雰囲気作り」「ファシリテーターとしてのあり方」についての話が展開されていました。
▼当日の受付
いったん休憩をはさんで、引き続き企画シートにそって続けていきます。次は、受付でおもてなしの気持ちをこめてどんなことができるかについてみんなでアイデア出しをしました。受付から、「今までとはちがうんだ」と意表をつくようなことをしたいという声が多かったです。ただそれも、何のためにやるのかが大切で、来てくれた人が安心できるような、話し合いにつながるような流れをつくれるものがよいですね。
▼当日の進行
このパートは誰かが出した疑問に対しての全体での対話形式で進みました。
○アイスブレイクは必要?
参加者がはじめて会う人たちであれば、自己紹介やアイスブレイクなど、とりあえず口を開いてしゃべる場をワンクッション入れることも大切。この場で話している自分を一回認識してもらってからワールド・カフェに入っていくことができるからです。
○実際にラウンドをやっていただいている間、ファシリテーターは何をしていますか?
・まわりを歩いて質問されやす雰囲気をただよわせながらふらふらする
・問いに対しての話し合いがどっちに進んでいくか様子をうかがう
・気配を消す。波と流れを見て、ラウンドをとめるタイミングを見計らう
・2ラウンド目にいくときなどにこんな話出てましたねなど、話を促進するための声かけをする
・はじまってしまえば流れがとまることない
・話の中には介入しないで、話の環境を整備する
○沈黙している人がいたらどうすればいい?
沈黙の価値を知る。沈黙は考えている状態。その人の内的対話が進む。ファシリテーターは場で何が起こっているのか、目を凝らし、耳を澄ます。
○ワールド・カフェの最後の刈り取りかた、終わり方は?
色々なやり方があるけど、「なぜそれをするのか」が大切。ファシリテーターの意見はいれない
○ファシリテーターが参加者の一人になって完全に参加するのは?
全体に承認してもらったらやりやすい
○参加者の中に不満があるときは?
不満があったときは受け止める。否定的な感情は受け止めると少しいやされる
エチケットを理解してもらった上で参加者に参加してもらうのがその助けになる
全体で意見を出し合ったり、ファシリテーターやスタッフが答える形で様々な体験知を共有しました。
▼Q&A
その後さらに全体を通しての質問を共有しました。
・ラウンドごとの終了のアナウンスは?
・静まり返っているグループがあるときはどうすればいい?
・場を信頼して任せるために気をつけることは?
・ワールド・カフェって誰でもやっていいの?
・テーブルごとに問いを変えるのはOK?
・大人数(500人くらい)でワールド・カフェをするときの全体共有のしかたは?
▼アクションプラン
最後に、自分がワールドカフェをするときのアクションプランとして、まず何をするかを具体的に考えて書いていただき、グループ内で共有して終了となりました。
(レポート:大前みどり)
参加者の感想
●仕込みが大事ということを感じました。ワールドカフェのみをやりたいのではなく、大きな目的があるからこそワールドカフェを取り入れたいと思っています。きちんと計画を持って取り入れていくことが周りの人の役に立ち、それが本当の満足につながっていくのかなと思います。企画という仕事をしているので、企画シートがあったのが大変ありがたかったです。(前川円さん)
●実際にワールドカフェをやってみて、意外な発見がありました。単なる会議が起こるのではなく、自然に話が積み上がり、一人ひとりの気づきになっていくという実感が持てました。対話することによる効果を体感して、今後の必要性を改めて感じました。今日一日本当にありがとうございました。(弓指利武さん)
●ワールドカフェを開催するにあたっては、主催者となるスタッフがいかに楽しくリラックスして場を運営していくかが大切だと感じました。今日の場は、非常にリラックスし、楽しく参加できました。スタッフの方々の持つ想いや人間性が参加者に伝わったのだと思います。次の実践につなげていける大切な一日となりました。ありがとうございました。(小西直樹さん)
●大変勉強になりました。来月、ワールドカフェをホスト側で主催予定ですが、色々と知らないこと、気づきがあり、本当に来てよかったです。事前準備(目的を共有することなど)の大切さを、改めて認識しました。場づくりの重要性、ファシリテーターのあり方など、学びが非常に多かったです。(岸昌史さん)
●Q&Aが充実しており、とても参考になりました。スタッフの方々の運営スタンスが素晴らしく、印象に強く残りました。アドバンスコースを企画してください。(西村 直哉さん)
●楽しく過ごすことができた。問いをいかに作っていくか、そのヒントをもらうことができた。(仲山徹さん)
●問いの立て方について、参加者が何を話したいかを考えるということは、今まで私にはなかった発想でした。参加者が話したいことを問いとして出せるように下地作りを大切にしたいと思います。あと大前さんがファシリテーションで大切にしていることというお話はとても感動しました。(大濱径子さん)
●ワールドカフェをやりたい、やったことがあるという方が多く、どの段階でワールドカフェを入れるのがよいか考えることができた。(小林重之さん)
●質問に対するスタッフの皆さんの回答が大変参考になりました。ファシリテーターとしての心得「全力で見守る」「場をHoldする」など、実践してみようと思います。まずは楽しむこと、本来の目的を見失わないことを忘れないようにしたいと思います。ワールドカフェは目的を達成するためのツールであり、本来の目的に向けてのアクションを導き出すことを目指して企画、実践してみようと思いました。(匿名)
●物事をカタチにするためのひとつの手段として可能性を感じた。(匿名)
●前回参加時に比べてより深い理解、かつ具体的なノウハウをきくことができた。(匿名)
●4人のグループで他の方の企画、目的を知ることができて参考になった。一つずつ個人ワーク→グループ共有→全体共有の時間があってゆっくり学べてよかった。(匿名)
●「共感から発見」についてがとても印象的でした。「会社」という立場と、「大学」という立場など、様々な場によって共感までを求める人もいれば、その先の発見などを求める人もいることを知り、とても勉強になりました。ワールドカフェをする機会は今までありましたが、ワールドカフェ自体について話す機会はなかったので、とても新鮮でした。今日のワールドカフェを通して、今まで不明瞭だったワールドカフェの姿、本質が見えたような気がします。今後もワールドカフェについて色々学んでいきたいと思いました。ありがとうございました。(匿名)
●実際のワールドカフェの体験やワールドカフェに関わっている方たちの思いを聞くことができました。疑問も解決したことが多いです。地方に住んでいるので大変貴重な体験でした。(匿名)
●ファシリテーターとして場をホールドするということ⇒おそらく、細かな運用や進め方の原点と感じた。ここの部分が腹に落ちていないとどんなよい手法でも失敗するのではないだろうか?
ファシリテーターは目立たない。話題にならないことこそが重要。→自分は気づくと目立ちたがってしまうことが多い。(匿名)
●年齢も様々、経験も様々な方々のお話を伺えて大変参考になりました。具体的に企画の中で活かしていきたいです。(匿名)
●予想していたよりリラックスした雰囲気の中で、楽しんで参加ができました。テーマと問い、場づくり、いろいろと参考になりました。(匿名)
●何が必要なのか、考えることができた。Q&Aセッションも多く、疑問点が解消出来た。(匿名)
●3名のスタッフの方のふるまい方が印象に残った。ワールドカフェは生きものみたいですね。一日、楽しかったです!休憩中に中川さんに話しかけられてうれしかったです。ありがとうございました。(匿名)
●ファシリテーターが参加メンバー同士で学び合えるような場をつくってくださっていたので、疑問も解決策も場から得られたと感じていることが今とても印象に残っています。ありがとうございました。(匿名)
●ワールドカフェについて、また、その段取りについてよく理解できました。中川さんの心地よいファシリ、坂井さんの素敵なスマイルと動き、大前さんの鋭いコメント、最高でした!ワールドカフェ以外にも、良い勉強になりました。ありがとうございました!!(匿名)