コラムvol.132「手が知っている」

2023年の11月末に、レゴ®シリアスプレイ®(LSP)のファシリテータ養成トレーニングに参加しました。
4日間ですが、朝の8時過ぎから夜21時までの日もあり、かなりぐったりでしたが、それ以上に内容に感動をして本当に受講してよかったと思いました。

これまで弊社では、ロバート・ラスムセン・アンド・アソシエイツの蓮沼さんとのコラボレーション企画として、10年以上に渡ってLSPのワークショップを主催してきました。その度にLSPを体験してきているので、随分その意味や意義を理解したつもりでいましたが、実際に理念から戦略まで、高度に設計されたトレーニングを受けてみると、参加者として見ているときとはまったく異なる次元でその方法論を捉えることができ、その思想や期待しうる効果に対して、非常に感銘を受けました。

特に何らかの問題について考えるとき、私たちはついつい目の前のことにフォーカスしたり自分の基準で考えてしまいがちですが、その問題がどれだけの範囲(地理的、時間的)まで影響があり、特にどの影響を考慮しなければならないかなど、かなり高次の視点を持って物事を見なくてはいけないときに、モデルとして非常に使いやすいメソッドであるということが実感を伴って理解できました。

とはいえ、大きな規模に関わる問題であっても、社会や組織を構成しているのは私たち一人ひとり。
LSPでは必ず、一人の考えや思い、感じていることを簡単なモデルにするところからスタートします。
その際は、どんなものをつくろうと考えるのではなく、まず手を動かし始めます。手が知っていると信じ、手を動かしながらできあがっていくモデル(作品)のなかに、自分のなかの暗黙の領域にある「言葉になる前の何か」を見出し、引っ張り出していきます。

その後、一人ひとり全員の「一番大事なところ」を持ち寄って、全体モデルをつくっていくフェーズがあります。このとき、必ず全員が参加します。この全員が参加するということが要諦です。言葉だけの会議や話し合いの場ではどうしても、聞かれない声が出てきてしまいますが、LSPではかならずブロックでつくった作品がありますので、誰も無視されることはありません。統合に向かう過程で、かならず全員の声が聞かれ、全員の思いが作品に反映されます。その結果、全員がコミットメントする解決策を見出す土壌が完成するのです。

ここまで読んで抽象的でよくわからない、という方もおられるでしょう。
そうです。
これこそまさに、体験していただくことで、頭だけではなく、頭も身体も心も含めてトータルで理解するメソッドなのです。
体験ワークショップを随時開催していきますので、その醍醐味をぜひ一度体験してみてください。

(DODパートナー 大前みどり )