開催目的の確認
- なぜワールド・カフェを開催したいのか?目的を確認する。
- その目的に達するためにワールド・カフェが有効かどうかを検討する。
目的を確認する
ワールド・カフェは、参加者が本当に話し合いたいテーマについて、自由に意見を出し合い、お互いの思いや考えの背景について探求し、相互理解を深めることを目的としています。
急いで問題を解決したり結論を出したり、終わった後に合意形成ができていたりすることが目的ではありません。もしそのような結果を望んでいるのであれば、別の話し合いの手法やプロセスを検討する必要があるかもしれません。あるいは、ワールド・カフェの後に別の手法で結論を導く必要があります。
話し合いの手法としてワールド・カフェを選択するのであれば、ワールド・カフェは以下のような目的に効果を発揮します。このような目的であれば、あなたの主催するワールド・カフェは参加者全員にとって価値ある機会となるでしょう。
- 全員に自由に意見を言ってもらいたい
- いつもと違う雰囲気で話し合いをしたい
- 多くの知恵や考えを集めたい
- 考えや認識を深めたい
- 新たな気づきを得たい
- 相互理解を進めたい
- お互いの関係性の質を高めたい
多くの人は、硬い雰囲気で話すよりも、ゆったりとして肩の凝らない場の方が話をしやすいものです。
「カフェ」のようなリラックスした雰囲気で、気楽に、でも真剣味ある話ができる場、それがワールド・カフェの場です。それによって、参加者同士の関係の質も高まり、組織やチームが次のステップに向かっていく勢いがつきやすくなるのです。
大切なのはおもてなしの心
ワールド・カフェを主催するにあたり大切なこと、それは「おもてなしの心」です。ワールド・カフェの参加者に、できるだけ自分から積極的に話をしてもらうためには、話したいことが話せるというムードが大事です。そのためには、ワールド・カフェの場が、安心・安全な場、リラックスできる場である必要があります。
参加者に快適にすごしてもらえるような会場の準備をするのはもちろんのこと、スタッフの態度からもそのような雰囲気を創り出していくことが大切です。それらはいずれも「おもてなしの心」によって生み出されます。
- リラックスしてもらいたい
- 楽しんでもらいたい
- 快適に話し合ってもらいたい
このようなおもてなしの心が、参加者がリラックスできる雰囲気を作り出し、ワールド・カフェの効果を最大限に発揮するカギとなるのです。
会場手配
- 参加予定人数に合わせて会場を手配する。
- 会場で使用できる備品、飲食の可否、金銭授受のルールについて確認する。
どんな会場で行うか?
開催場所は、必ずしも本物のカフェで行う必要はありません。これまで会議室(洋室、和室)、学校、体育館などでも行われています。
どのくらいの広さが必要か?
ワールド・カフェは、1つのテーブルに4、5人が着席するスタイルで行うため通常のスクール形式などより広いスペースが必要です。会議室を使用する場合は、スクール形式の定員の約半分を、ワールド・カフェに参加できる人数の目安にするとよいでしょう。
案内(告知)
- 案内文を作成する。開催する目的、内容、開催概要(日時、会場、地図、参加費、定員など)を記載する。
- 一般の参加者を募集をする際は、WEBサイト、メール、メーリングリスト、ホームページ、ブログ、チラシ、知人の紹介などを利用して告知をする。
案内文で大切なこと
案内文では、「何のためにワールド・カフェを開催するのか」を明確にし、それを分かりやすく伝えます。文章が長いとわかりにくいので、一文につき一つの内容を伝えるように心がけましょう。また、ワールド・カフェを知らない人のために、「ワールド・カフェとは何か」を記載するとよいでしょう。当資料2ページの「ワールド・カフェとは?」を参考にしてください。
案内を始める時期
案内状(メール)の送付や告知活動は、遅くても開催日の一ヶ月前には始めるようにしましょう。大規模なワールド・カフェの場合は、準備なども増えるため、さらに早い時期に開始しましょう。
告知の手段
一般に広く参加者を募集する際は、 WEBサイト、メール、メーリングリスト、ホームページ、ブログ、チラシ、知人の紹介様々なメディアを通して告知をしていきます。ただし最も推奨されるのは、自分の身近な人や知人に個別にメールでお誘いをするという方法です。「この人にはぜひ参加してほしい」と思っている人に対して、「ワールド・カフェに参加することにより、どのような価値を得ることができるか」を明確にして伝えると、誘われた人の期待感が高まり、足を運んでもらいやすくなります。その際、「自分がなぜワールド・カフェを開催するのか」を明確にしていないと相手に伝わりづらいので、開催の目的ははっきりさせましょう。
当日の内容と問いの検討
- ワールド・カフェ当日の進行や時間配分を検討する。
- 問いについて検討する。
参加者にどんな変化がもたらされるか?
今回のワールド・カフェに参加することで、参加者にどのような変化や効果がもたらされるのかを、参加者の立場にたってイメージしながら、ワールド・カフェ全体の進行や時間配分を検討します。このとき、当日一緒に場づくりを行うスタッフと対話をしながら、目的やおもてなしの意識を共有していくことが大切です。
問いは重要な要素
ワールド・カフェを成功に導くための重要な要素は「問い」です。 参加者が自分ごととして真剣に取り組むことのできる問いを設定することにより、"考える"という行為そのものが始まり、より深い知恵への探求や、学習をともなう会話が起こってくるからです。適切な問いは、会話の深みを増し、知恵やアイデアを生み出していきます。 ただ、それほど難しく考え込まなくても構いません。大事にして欲しい点は、主催者として「どんな場を作りたい」「どんな対話が起こって欲しい(特に、その日のテーマを意識して)」のかを思い起こして、その思いから外れてしまわないことです。主催者の思いを大切にしてください。
問いを立てるときの留意点
ワールド・カフェの問いを考えるときには以下のような点に留意しましょう。
- 参加者が是非とも話し合いたくなるような問いを提示する。
- 主催者が、テーマに基づき、その時にどんな場を作りたいのか/どんな対話が起こって欲しいのかを意識して、問いを考える。
- 「力強い問い」を作る。力強い問いは、対話に焦点と首尾一貫性を与える。さもないと対話が拡散してしまう恐れがある。
- 本当に大切なテーマに対しての目的意識、焦点、エネルギー、直接的な関心を向けられるよう、よく練る。
- オープンな問いにする。(イエス・ノーでは答えられないもの)
- 直接的なアクション項目、あるいは問題解決を求めるものである必要はない。
- 探求を引き起こすものであるほうがよい。
- ポジティブな問いを立てる。
「力強い問い」とは
「力強い問い」について、アニータ・ブラウンとデイビッド・アイザックスは、次のような条件を満たす問いを採用するようすすめています。
- シンプルで明確な問い
- 発想を促す問い
- エネルギーが湧いてくる問い
- テーマに集中して探求することを促す問い
- これまでの仮説や思い込みを気づかせる問い
- 理想の状態、新しい可能性を開く問い
- より深い内省を促す問い
- 自分事として考えられる問い
問いの機能性
テーマをもとに、参加者の会話をガイドするような機能を持たせる問いを立てる方法もあります。ラウンドごとに問いを変える場合に使います。(次項にて説明します) 逆に、抽象的な投げかけで多様な視点からの意見を引き出すこともできます。 (例.「いま、あなたの中に何が起こっていますか?」)
ラウンドごとの問い
全ラウンドを通して一つの問いについて対話を行うのが基本ですが、ラウンドごとに問いを変える方法も広く行われています。ラウンドごとに問いを変えることにより、参加者の対話・思考に方向性を持たせることができます。しかし、誘導しようという意志が強く感じられたり、対話が分断されたと感じられては逆効果になってしまいます。誘導ではなく、思考や対話の深まり、意識の方向性を考慮した問いの設定が望ましいでしょう。
例)キャリアについて考えるワールド・カフェ
- これまでの自分のキャリアを振り返って転機だったと思う体験はどんなものですか?
- 他の参加者の体験を聴いて、さらにどんなことを感じましたか?
- 明日から具体的に何をしていきたいと思いましたか?
問いの例と意図
ワールド・カフェ・ウィークのサイトで公開しているこれまでのワールド・カフェの開催レポートでは、実際にワールド・カフェでどんな問いが使われたか、なぜその問いにしたかの意図をご覧いただけますので、ぜひ確認してみてください。
https://world-cafe.net/report/
備品手配・役割分担
- 当日必要な資料(プロジェクタ投影データ、貼りだし用の模造紙など)を準備する。
- ワールド・カフェの目的に沿って、場づくりに必要な備品を準備する。
- 当日のスタッフの役割をリストアップし、分担する。
ワールド・カフェを開催するために必要な備品です。
トーキング・オブジェクトとは?
トーキング・オブジェクト(TO)とは、それを持っている人が話す、持っていない人はしっかり話を聴く、という役割をはっきりさせてくれます。
また、話が続くたびにTOも人から人へまわっていくので、一人ひとりの話を大切に扱い、繋げていくことの意味を感じさせてくれるものでもあります。
TOを持っている事の意味を自覚してもらうことで、グループ全員の時間を独り占めして一人が話し続けてしまう状況を避けやすくなると言われています。
具体的には、TOをテーブルの中央に置き、発言したい人がトーキング・オブジェクトを手に取り、発言が終わったら元の位置に戻す、というルールで使用します。クッシュボール、石、小さなぬいぐるみ、ルービックキューブ、お手玉などが使われています。
TOはグループ全員の時間を誰か1人が占有してしまわないようにするために有効です。また、発言の少ない人にトーキング・オブジェクトを渡すことにより、発言を促すことができます。
トーキング・オブジェクトは使用してもしなくてもかまいません。
おもてなしの心の演出
会場やテーブルの上に、おもてなしの心をこめて小物を飾るとよいでしょう。季節を感じられる 花があると気持ちがなごみますし、遊び心のあるおもちゃがあると、開始までの参加者同士の話題にもなります。和室で開催する場合は折り紙なども喜ばれます。自宅にお客様をおまねきするときと同じ気持ちで、工夫してみましょう。
【小物の例】 お花(造花、折り紙で作った物でもよい)、折り紙、ルービックキューブ、ラーメンどんぶりとレンゲ、クリスマスツリー、松ぼっくり など
ワールド・カフェのエチケット
普通のカフェにも、「禁煙席では喫煙をしない」等のエチケットがあるように、ワールド・カフェにもエチケットがあります。安心な雰囲気の中で自由に対話ができるよう、参加者に伝えましょう。
【エチケットの例】
- 対話を楽しむ
結論を無理にまとめる必要はありません。その場に出てくる話と、参加者との対話を楽しみましょう。 - 話をよく聴く
話すばかりではなく、他の人の話によく耳を傾けましょう。 - "質問"して広げる
からないことや理解できないことは質問してみましょう。質問することで理解が深まり、対話が広がります。 - 否定しないで、受け止める
議論の場ではありません。多様な意見を受け入れ、それに触発される自分自身を楽しみましょう。 - リラックス
正解はありません。間違いもありません。一人ひとりの発言が誰かの気づきや新たな視点の発見に繋がります。リラックスして話しましょう。 - アイデアや思いついたことを書く!描く!つなぐ!
思いついたことや話したいことなどのキーワードを書いたり絵を描いたりしながら、対話を残していきましょう。必要ならばそれらを線でつないで関係を示すと発見があるかもしれません。 - テーマにフォーカス
テーマについて話をするよう心がけましょう。著しい脱線は限られた対話の時間を浪費してしまいます。参加者全員がテーマにフォーカスした深い洞察と対話によって、場は活性化します。
すべてのエチケットを徹底しようとすると、束縛された感じを参加者に与えてしまうので、主催者が大切だと感じていることにフォーカスをあてて紹介することをおすすめします。
リマインドメール送付
- ワールド・カフェ参加者に直前のリマインドメールを送る。
事前のリマインドメールもおもてなしの心で
開催日が近づいてきたら参加者にあらためて当日の時間や会場などを送りましょう。会場がわかりにくい場合は最寄駅からの道順を説明し、事前に伝えておきたい点、そして何よりも楽しんでいただきたいという気持ちを伝えましょう。
会場設営
- ワールド・カフェ開始1~2時間前には会場に行き、受付台の設置、テーブルのレイアウト変更、模造紙やカラーペンなどのセッティングなどを行う。
- リハーサルを実施し、マイクの音量確認や、流れの確認などを行う。
- ファシリテーター含め、スタッフ間での最終的な意識あわせを行う。
リラックスできる場づくりを
一番のポイントは、参加者が気持ちよく、かつ主体的に関われるような場を作ることを心がけることです。テーブルレイアウトを変更する際は、あえて机の向きを不揃いにします。
仕事の研修や会議を連想させる配置にすると、参加者は無意識に序列を意識してしまいます。机の向きを不揃いにして、参加者と主催者、そして参加者間の序列をなくすことにより、すべての参加者が受け身にならず、主体的に関わりやすくなります。
また、テーブル同士の距離が近いと、隣のテーブルの声の影響で同じテーブルの人の発言がよく聞き取れない場合があるため、テーブル同士の感覚は広めにとります。
各所におもてなしの心を
各テーブルごとに設定が必要なものは、模造紙、ペン、トーキング・オブジェクトです。小物、お菓子、飲み物などは、各テーブルに置くか、カフェコーナーを設けるなどしてもよいでしょう。また、開始前や休憩時間にはリラックスできる音楽を流してもよいでしょう。
ファシリテーターとスタッフで今一度意識の共有を
ファシリテーターはもちろん、スタッフ全員でワールド・カフェ開催の目的を再確認し、すべてのアクションが何につながるのかを改めて確認しておきます。スタッフの認識・想いをひとつにすることで、一人ひとりのあり方が場ににじみ出てくるのです。それがおもてなしにつながり、場を作るハーモニーとなります。スタッフ同士が作る雰囲気もまた、大切な場づくりの一つなのです。
受付
- 参加者が会場に到着したら、おもてなしの気持ちと笑顔で迎える。
- 参加費を当日回収する場合は、受付で受領する。必要に応じて領収書を発行する。
- 配布資料があれば、受付で渡してもよい。
おもてなしの気持ちで
参加者が一番最初に接するのが受付です。明るいあいさつと自然な笑顔でお迎えしましょう。特に初めて参加される方などは、緊張をしていることもありますので、安心感を与えるような対応が大切です。
当日の現金の受け渡しには配慮を
参加費を事前振込にしない場合は、当日受付にて受領します。領収書やおつりの準備を忘れないようにしてスムーズな受付を心掛けましょう。また会場によっては、現金の受け渡しが禁止されているところもありますので、事前に必ず確認をしておきましょう。
遅刻した方がスムーズに場に入れるように
遅刻者への対応も受付の仕事です。それまでの流れや、現在の問いを簡単に説明し、空いている席へ誘導してあげてください。
進行
- 開始時刻が来たら、開始の挨拶をし、ワールド・カフェをスタートする。
- 会の主旨と流れを説明する。
- ワールド・カフェとは何か、ワールド・カフェの進め方を伝える。
- 問いを提示し、ラウンドごとに終了の合図をする。
- できる限り最後に全体シェアの時間をとり、感想を共有する。
ファシリテーターのあり方
ファシリテーターとしてどんな行動とるとその場に適切なのかを予め理解しておき、それに基づいた行動をとりましょう。しかし、行動に囚われすぎると「目の前の場によりそう」という本質的なことを見失ってしまうことになりかねません。ワールド・カフェの場での対話を促進するためには、ファシリテーターとしてどう「ある」と良いのかをいつも意識することが重要です。「何をするとよいのか?」ではなくて、「どうあるとよいのか?」を意識の中心に据えることで、頭で考えなくても自然に身体が動くようになります。そうすることによって、場の動きをより俯瞰して観ることが出来るようになったり、場の声により耳を澄ますことができるようになったり、その場で起こる色々なことに余裕を持って対応できるようになります。そして、そういった自然な関わりが、参加者の気付きや学びを最も促進することにつながるのです。ファシリテーターはいつも、Doing<Beingを意識すると良いでしょう。
開始挨拶
開始の挨拶はファシリテーターが場に対して最初に発する言葉です。ファシリテーターの第一声は、その後の場の空気を決めます。カジュアルに切り出せばカジュアルな雰囲気が伝わり、固く切出せば固い雰囲気が生まれます。ファシリテーターが作りたい場の雰囲気をよく考慮し、言葉使い、表情、声のトーン等に気を使ってみましょう。歓迎の気持ちを込めて、会場の全員に向かい、なるべく一人ひとりとアイコンタクトするような気持ちで話しましょう。また、声は後ろの人まで届くように心がけましょう。この時点で届かないと感じればマイクを使うなどの工夫が必要です。会場にいる参加者をファシリテーター自身が受け入れ、ここが安心・安全な場であることを態度で示す気持ちで。
ファシリテーターの自己紹介
ファシリテーターの自己紹介を忘れずにしましょう。このとき、所属や職業について語ると同時に、プライベートな話題を少し加えるといいでしょう。また、テーマに沿った話や季節の話題などをするのもいいでしょう。ファシリテーターがオープンに自分のことを話すことで、ファシリテーターに対する距離感が縮まり、この場が安心・安全な場であることが参加者に伝わります。
アイスブレイクと関係作り
話しやすい雰囲気を作るために、必要に応じてアイスブレイクを取り入れましょう。場を創るための重要なポイントです。
①テーブルごと: まずは同じテーブルのメンバー同士で自己紹介をしてもらいましょう。例えば名前、所属、仕事内容などに加え、プライベートな話題をひとつ盛り込みます。この話題はファシリテーターが決めておきます。(例.「最近嬉しかったこと」)話している本人が自然に笑顔になる明るい話題が望ましいです。自然にそのテーブルに笑顔の輪が広がり、空気を和やかにしてくれます。 一人が話し終わったら拍手をしてもらってもよいでしょう。ファシリテーターがどこかのテーブルに混ざって拍手をリードすると、いつの間にか他のテーブルにも伝染していきます。拍手の音はそれだけで場を盛り上げてくれます。(ただし、あくまでも参加者同士が自然に話のできる雰囲気づくりが重要なので、無理に盛り上げる必要はありません)
②全体: 時間に余裕があれば全体を巻き込んだアイスブレイクができるといいでしょう。ワールド・カフェではテーブルで閉じた対話ではなく、多くの参加者と交わることになります。全員が仲間意識を持てるようなテーマでアイスブレイクできると、一体感や良い雰囲気を醸し出すことができます。
アイスブレイクで作りたいのは、笑顔と話しやすさです。笑顔を引き出し、声が出せるアクティビティを取り入れることによって、一気によい場作りができるでしょう。それはファシリテーターを勇気づけてくれますし、参加者とともに安全・安心の場をつくることにつながります。
趣旨説明
趣旨説明は今日この場の軸です。なぜこの場を催したのか、なぜ私たちがここに集っているのかを明らかにし、場の参加者と共有しましょう。それにより、ファシリテーターと参加者が同じ土台に立つことができます。
ワールド・カフェの説明
ワールド・カフェが初めての人や慣れていない人もいるかもしれません。参加者の不安を消し去り、これから行われることを明らかにするために、簡潔にワールド・カフェについて説明しましょう。必要な情報は、
- ワールド・カフェとは何か?
- 効果や意義
- 手順(ラウンドチェンジ、ホストの選任についても伝えておくと良いと思います。)
- 参加の仕方(模造紙にペンで思ったことや考えたことを書く/描くこと) です。
また、当日の進行(タイムスケジュール)も説明しておきましょう。特に休憩が入るのかどうか、各ラウンドの時間は何分なのかなどを明示しておくと、参加者は安心することができます。 この場のセッティング(模造紙、カラーペン、トーキング・オブジェクト、他)の意味についても伝えておくとよいでしょう。参加者の疑問や不安を取り除くことも、おもてなしの大切な要素です。
エチケットを伝える
よい場にするために、対話のエチケットを伝えておきましょう。一人ひとりが意識することでお互いがよい対話に貢献し、一緒に場を創っていくように促せるといいでしょう。
このとき、「~しないでください」という表現よりも、「~するようにしましょう」という前向きな表現を使うよう心がけましょう。「~しないでください」という伝え方は参加者の発言や態度を縛ってしまいかねません。やむを得ず「~しないでください」という表現をしてしまうとしても、その後に前向きな表現を加えることをおすすめします。
問いの発表
「問い」は正確に参加者に伝えましょう。このときプロジェクターを使って全員にわかるように表示出来るといいでしょう。プロジェクターを使わない場合には、ホワイトボードに書いたり、あらかじめ模造紙に書いたものを掲示するなどして伝えましょう。
ラウンドの開始
問いを伝えたら、いよいよラウンドの開始です。ここでは、①終了時間 ②終了の合図 を参加者に確認しておきます。
時間管理とラウンドの終了
ファシリテーターが時間管理を行います。参加者が戸惑わないよう、開始の合図は明確に行いましょう。
終了の合図は決めておき、あらかじめ参加者に伝えておくといいでしょう。ベルを鳴らしたり、ファシリテーターの挙手を合図に対話を終えてもらうなどの方法があります。終了時間はきっちりしていることが望ましいのですが必ずしも正確さにこだわる必要はありません。
場の状況に合わせて多少前後させるとよいでしょう。対話を終えてもらったら、対話が途中であったにも関わらず場の進行に協力して話を止めてくれた参加者に感謝の気持ちを伝えましょう。
ラウンド・チェンジ
各テーブルにホストが一人のこり、他のメンバーは他のテーブルへ移動します。 まずは次のラウンドに向けて、テーブルに残ってもらうためのホストを一人決めてもらいます。ホストを決めてもらったら、他のテーブルへの移動を促しましょう。このとき、ホストの決定とメンバー移動を同時に説明してしまうよりも、①ホストを決める ②決定を確認する ③移動を促す という具合に、それぞれのプロセス毎に、ファシリテーターがリードしながら順番にすすめていくように進めると場が落ち着きますし、テーブル毎の足並みが揃いメンバーのテーブル移動もしやすくなります。 (テーブル移動の際には「他のメンバーに御礼を言って別れましょう」などと促すことで、事務的なメンバーチェンジを避け、最後まで温かい雰囲気のまま場を終え、次につなげることができます)
次ラウンドの開始
全員が席に着いたことを確認し、①ホストが場の対話内容をシェアすること ②他から移ってきたメンバーがそれに自分たちのアイデアを他花受粉して広げること ③このラウンドの終了時間 を伝えましょう。このあたりは参加者の慣れを考慮して進めるといいでしょう。
全体共有
全ラウンドが終了したら、全体共有をします。最初に一人ひとりがゆっくりと自分の中で振り返る時間をもってもらい、それから皆で共有します。このプロセスにより、自分の中で起こったことの確認や、各テーブルでの対話の共通点や差異の発見につながります。また知恵とアイデアを拡大することもでき、さらなる気づきを促すことにもなります。その日の報告ではなく、どんな事を感じたり考えたりしたか、みんなに伝えたい気持ち等を共有してもらいましょう。共有方法は自由ですので、残り時間の中で有効な手段をファシリテーターが選びます。ファシリテーターは時間を管理する事も求められますが、それより場と参加者の気持ちを感じながら、よりよい対話の場づくりに注力しましょう。
終了の挨拶
最後に、今日参加してくれた方へのお礼を忘れずに伝えましょう。最後の印象が参加した方の一日の印象につながることもあります。
備考
ここに書かれた順番や進行でなければならないことは決してありません。むしろ、順番や進行にこだわり過ぎて参加者の意欲を削いでしまうことの無いように注意しましょう。参加者に委ねることで場の雰囲気が醸成されていくことも少なくありません。よりよい進行の為に、その時その場で起こっていることを注意深く観察し、柔軟に対応することを心がけましょう。
片付け
- ワールド・カフェ終了後は会場の使用時間内に、テーブルの上を片付け、必要に応じてテーブルレイアウトを元に戻す。
ワールド・カフェ終了後は、対話の楽しさを実感した参加者の方がそのまま会場に残って話を続けることが少なからずあります。そのための時間を見込んで、余裕を持って会場使用の時間を確保しておきましょう。また、どうしても早急に退室をしなくてはならない場合は、自由な会話の雰囲気をこわすことのないよう配慮しながら、場所の移動をお願いするなどして、会場の使用時間内に退室できるよう気をつけましょう。
また、当日発生したゴミは、会場で処分可能な場合を除き、必ず持ち帰って処分しましょう。
フォロー
- ワールド・カフェ開催後、参加者へお礼メールを送る。開催の様子や他の参加者の声をシェアする。
開催後のフォローや報告も大切なポイントです。「ただ楽しく話した」だけで終わることのないよう、参加者の感想や、ファシリテーターの感想、気づきなどをまとめてWEBサイトに掲載したりして情報をシェアできるようにしましょう。
特に当日の模造紙の写真をメールで送付すると、ワールド・カフェでの対話の流れを思い出してもらうツールとして活用してもらえます。
※これまで私たちが開催してきたワールド・カフェのレポートはこちらに掲載しています。