Vol.68「おもしろい新人研修」

先日、NHKの「サラめし」という番組で、広島のとあるスーパーマーケット運営会社のおもしろい取り組みが紹介されていました。

この会社では、新入社員に対して、新人研修の期間中、「毎日お弁当を自分で作ってきてください」という課題を与えているそうです。
家族の力を借りるのはいいけれど、「必ず自分一人で完成させる」というのが決まりです。

番組では、何人かの新入社員の朝のお弁当づくりに密着していました。
それまでお米を研いだことさえなかった男の子や、食事はすべて親任せだった女の子たちが、ただでさえ就職したばかりの慣れない毎日の中、自分で食材を買いにいき、レシピ本を見たり、調理法や味付けに試行錯誤したりしながら、早起きをしてお弁当を作る様子は、危なっかしいながらもとても楽しそうでした。

そして何より、研修の合間のランチタイムに、みんなでお弁当を見せ合いながら食べている様子が、とても充実した時間になっているように感じられました。 お弁当づくりの過程での「あれが大変だった」「これがわかんなかった」「それどうやってやるの?」など、話が弾んでいる様子が伝わってきました。

もともとどうしてこんな課題を始めたかというと、スーパーマーケットという食を扱う企業の社員として、食に対してもっと興味を持ってほしいという意図だったそうです。
買い物に行ったり、調理をすることを通して、消費者の目線で食材に向き合う体験をしてほしいからということだったそうです。

そして、この取り組みの結果として、食への興味向上だけでなく、その子の作ったお弁当から、性格や仕事への姿勢が見えてきたそうです。

最初はまったくできなかったけれど、地道に努力して少しずつ上達する子。
上手くいかなかったことは、必ずやり直してできるようになる子。
毎回、必ず色合いや盛り付けを工夫してくる子。

上手い下手ではなく、どんな風に取り組んでいるかを観察しているそうです。
そして、研修終了後はその子にあった職場への配置ができるように参考にするそうです。

そう考えると、料理というのはとてもその人らしさがでるものですよね。

作るのは好きだけど、後片付けが嫌いな人。
面倒くさがりで、一点豪華主義。
彩りよりも実用主義。
手をかけることをいとわない人。
食べる人のことを念頭に置きながら心をこめる人。

すべて仕事に置き換えて、考えることができるように思います。
どれがいいというわけではなく、その人らしさが活きる仕事がそれぞれあると思うのです。

自分はどんなタイプで仕事をする人なのか?
料理に取り組む自分を通して、自分の姿勢を見つめ直すことができそうです。

ちなみに私は、作るときは力を入れて作るし、作りたくないときはまったく何もしないという、とてもムラのあるタイプです(まさに仕事もその通り...)。

(DODパートナー:大前 みどり)