Vol.41 ワールドカフェをはじめる前に

先月5/16の"対話の場づくり実践シリーズ「ワールド・カフェのつくりかた」"
のファシリテーターを担当しました。
そこで、改めて気づいたことをお話ししたいと思います。

ワールド・カフェは、「ホールシステム・アプローチ」と呼ばれる
対話の手法のひとつです。いつも講座で最初にお話しすることですが、
ワールド・カフェはもっともシンプルな手法がゆえに、事前準備が
8割と、とても重要になります。その中でもっとも大事なのが
「目的」と「問い」で、講座でも午後のほとんどを割いて取り組んでいます。

講座を受講された方であればお分かりだと思いますが、
適切な問い、力強い問いをたてるのは簡単ではありません。
答えがないので、問いは考えれば考えるほど味が出てきます。
ただし、目的と対象が明確であれば、問いを立てる道筋は、
比較的楽になります。
そして、目的が明確な上で、原理原則を守って設計すれば、
それなりに機能するのがワールド・カフェのすごさです。

通常の研修やプロジェクトなど、普段の仕事でも言えることですが、
目的が明確であればあるほど、目標にブレークダウンしやすく、
仕事の進め方はスムーズになります。ワールド・カフェも同じです。

研修担当の方や対話、コミュニケーションに興味がある方が
ワールド・カフェを知ると、一度は試してみたくなるものです。
講座に参加される方の中には、半信半疑だったり、気楽に
参加されたりする方もいれば、ワールド・カフェを体験したものの
基本的なつくりかたも知っておきたいという方も多くいらっしゃいます。

実際、講座に参加した方からよく挙がるのが、
「(未経験者、上司などに)良さを伝えるのが難しいですねー、
体験してもらえればわかるんですけどね、、、」という悩ましい声です。
そういうときにオススメするのが、仲間内でのワールド・カフェ風
プチカフェです。(笑)

ワールド・カフェ風プチカフェは、特にやり方があるわけでは
ありませんが、ワールド・カフェに必要な人数はいなくとも、
街中のカフェでも、会議室でも、数人で円卓を囲んで、
テーマと問いを決めて話してみるという対話のやり方です。

組織内で対話を広げるには、まずは味方を増やすことが重要です。
社内のコミュニケーションを活性化したいのであれば、
ワールド・カフェ開催の是非の前に、ぜひプチカフェのように対話を
深める習慣を増やすことをオススメします。仲間が増えれば、
ワールド・カフェを開催する際に運営も容易くなるからです。

ワールド・カフェという手法は、シンプルに体系化されているので、
一見簡単にできそうに見えます。
しかし、実際に導入当初から根付かせるまでは、通常の研修や
プロジェクトと同様に、手間がかかる事は間違いありません。

とりあえずの開催を目的にして、大々的にワールド・カフェを
やったはいいけど、参加者の反応や評判がイマイチで、
その後導入しにくくなった事例も多く聞きました。

従って、特に組織などで活用する場合は、ワールド・カフェありき
ではなく、目的ありきで進めましょう。そうでないと
「効率的でない」「成果が見えない」と言われておしまいです。

今回の講座を通して改めて思い出したのは、目的を共有することの
重要性です。まずは「何のために?」をしっかりと対話し、
お互い共有することができれば、多くの可能性を生み出すきっかけになります。

「なぜ?」を繰り返すと嫌がられるかもしれませんが、
それでもやはり大事です。

そもそも対話をしたいのはなぜか?
なぜ必要だと思うのか?

これからワールド・カフェを開催するみなさんは、
ぜひ目的について探究してみて欲しいと思います。

(DODパートナー:坂本敬行)