【レポート】11/13 「ワールド・カフェのつくりかた」1Dayワークショップ開催レポート
開催概要
●タイトル:「ワールド・カフェのつくりかた」1Dayワークショップ
●主催: ワールド・カフェ・ウィーク実行委員会
●日時: 2010年11月13日(土) 10:00~18:00
●場所: 豊島区立舞台芸術交流センター あうるすぽっと 会議室B
●参加人数: 28名+ホスト3名(ワールド・カフェ・ウィーク実行委員会 中川繁勝、坂本敬行、喜安克敏)+サポート1名(ワールド・カフェ・ウィーク実行委員会 大橋靖子)
●開催意図
8月にも同タイトルで開催しましたが、その後も参加希望者が多かったため、年内に追加開催を決定しました。
ワールド・カフェ・ウィークも直前ということもあり、多くの方々に開催していただけるようになっていただきたいという思いもあります。
前回同様、このワークショップでは「教える」のではなく、参加者同士が様々な疑問や悩みを共有し、経験談や意見を交換しながら、気づき、学んでもらう場となるようプロセスデザインをしました。
以下、当日の様子です。
当日の様子
▼いつも「読んでもらいたい名前」で名札を作って首から提げてもらいますが、今回は普通に名字を書く方が散見されました。ファシリテーターより名字ではなく、小学校の時に呼ばれていたあだ名やお気に入りの呼ばれ方を敢えて書いてくださいとの案内があり、名札を書き直すことに。
名札ができたら自己紹介。自分の呼び名を紹介する時に照れ笑いが生まれたり、エピソードの話で笑いが起きたりと、自然に和やかなムードが生まれていました。
▼今回の参加者のみなさんは、主催経験者ゼロ。これは当然ではありますが、参加未経験者が7名という状況。参加未経験者の方々にとっては説明の一つ一つが新しく、また理解仕切れていなかったかも知れませんが、細かい理解は紹介した本で確認していただきます。
▼本に書いてある表現はやや難解だったり、私たちが使い慣れていない言葉だったりします。主催者が使い慣れていない言葉を参加者に伝えてもわかりませんので、実際に主催する時には自分なりの理解の範疇で、自分の言葉で伝えた方が参加者にも伝わるという説明がありました。
▼参加者のみなさんには、主催者のためのプランニングシートが配布され、それを埋めながら進めていく手法で進んでいきます。開催目的、開催場所、タイトル、案内文について配布した「ワールド・カフェの手引き」にそって解説をした後、参加のみなさんから適宜質問を受けながら疑問を解消していきます。
▼ワールドカフェ
やってみれば気づくことや新たに生まれる疑問もありましょう。ということで、ここで参加者にワールド・カフェを体験してもらいます。
まずはファシリテーターより配付された資料をもとに、ワールド・カフェを簡単に説明し、その概要、進め方、エチケットを実際の参加者に伝えるのと同様に実演します。主催した時に、初めての人たちにどう伝えるのかのヒントになったようです。多くの方がメモを取っていらっしゃいました。
今回は3ラウンドでのワールドカフェ。問いは2つ用意されました。
まずは「ワールド・カフェを開催にするにあたり事前に用意しておくことはなんだろう?」です。
ここまで話のあった内容はもちろん、それ以外のことにまで話が及び、自分たちなりに「これも」「あれも」と沸いてきて話が広がります。徐々に主催者側の意識合せの重要性、おもてなしマインドの重要性に話題が集中していったようです。
約20分後に2ラウンド目に入ります。テーブルのメンバーが入れ替わり、それぞれがテーブル移動の際に少しのお菓子をお土産としてもって新たなテーブルに加わります。もうそれだけで雰囲気は和やかになり、「行ってらっしゃい」や「ようこそ」「どうぞどうぞ」といった声がけも自然に起こり始めました。
2ラウンド目からの問いは「ワールド・カフェ当日にするべきことはなんだろう?」です。
うなずきやテーブルに向かう体の角度や向きなどから、参加者間の関係と対話の深まりを感じます。
3ラウンド目はホームに戻ります。やや落ち着いた雰囲気と共に頭もいい具合に回転し暖められている感じ。話を深めていきます。
ここでは、スタッフの意識合せ、役割分担、ファシリの重要性などがあがっていたようです。ワールド・カフェのテーマ・目的をスタッフで共有することの重要性についての発言が徐々に多く挙がるようになっていきました。
終了後、各テーブルで内容を振り返り、その後に個人で2つめの問いを振り返りました。この内容はこのあとにお伝えする内容と関連するため、予習となるワークでした。
▼質疑応答
休憩を挟んで質疑応答が行われました。
事前に準備していただいた疑問・質問をポストイットに書き出してもらい、ファシリテーターとホスト役の2名でピックアップして回答していきます。
ここでは、3人それぞれの実体験からのエピソードを交えた回答でしたので、みなさん熱心にメモを取る姿が見られました。
今回は以下のような質問が飛び出しました。未経験者にとっては些細なことがとても重要だったり悩んだりするものです。経験豊富なホスト達が丁寧に回答をさせていただきました。回答毎に関連した事柄もお伝えし、この質疑応答では多くの疑問を解決できたと思われます。
- 模造紙は色つきでないといけない?
- 集客はどうしたらいい?
- 安心・安全の場をどうつくる?
- 当日の流れ、時間配分はどのように?
- ファシリテーターは自分でやるべき?外から呼ぶ?
- 今回のワールド・カフェはどのくらい前から準備を始めたの?
- ワールド・カフェには最低何人必要?
- 配付資料は何が必要?
- 問いをどう作るか?
- テーマと目的の違いは?
- テーマの設定方法は?
- どのくらいの間隔で開催するのがよいのか?
- ファシリテーターによる介入のタイミングは?
- ラウンド早々に場が沈黙している時、いつまで我慢するか?
- 鉄板の笑わせ術、ファシリテーターの力量、ツボは何か?
- クローズの仕方。どうやって収束させるのがいい?
- 書き出した模造紙はどうするのか?
- ファシリテーターは一人?
- 複数の場合、連携の仕方は?
- 模造紙はラウンド毎に変える?
- ファシリテーターとして楽しむには?
- ワールド・カフェ、セミナー、ワークショップの違いは?
- 対話中、模造紙への書き込み内容がダブってもいいのか?
- 成功したイメージを共有する方法は?
読んでお感じのように、非常に幅広く様々な質問が飛び出しました。本に書いてないことも多く、実際の現場でどうしているのか、またどうやったらうまくいったのか/失敗したのかを共有させていただきました。とくに失敗体験はみなさんの興味をひいたようです。ぜひ同じ轍を踏まないようにしてください。
▼最後はそれぞれが1日の学びをポストイットに書き、「気づきの木」を完成させて終わりました。
▼今回は全体を通して、スタッフの意識合せ、役割分担、ファシリテーションの重要性に関連するコメントが多かったようです。また、ワールド・カフェのテーマや目的をスタッフで共有することの重要性についても何度も発言に挙がっていました。
ワールド・カフェ自体はひとつの対話の手法でありツールです。しかし、このツールを使うことが目的になってしまうことが、ほかのことでもよく見受けられます。なぜワールド・カフェなのか、を考えて使うことが重要であり、ワールド・カフェで得られる果実をどうするのかを主催者がしっかり理解し考えながら場をつくることが重要だというメッセージをお伝えしました。
次回は1月に開催します。
また多くの疑問・質問をクリアしながら、多くのみなさんにうまくワールド・カフェを使って対話を促進し、意義のある成果を得ていただければと思います。
(レポート: 中川繁勝)
参加者の感想
● 体系的に整理することができ、大変役立ちました。 (匿名)
● 実務でどう使えるか想像ができた。 (佐藤寛子様)
● 初めての人なのに深い話になった。問題解決の糸口を探すには良い手法だと思った。 (匿名)
● Doing < Being が一番印象に残りました。場の力に任せる勇気が大事なんだなぁと思いました。
(星野義明様)
(星野義明様)
● 「研修などでワールド・カフェをどう用いるか」の参考になりました。 (匿名)
● ワールド・カフェは対話のツールであって、まず「目的」がありそのために開くのだということに気がつきました。この「目的」をスタッフ間で共有できていれば、あとは当日の場に沿って進行できるのだと思えました。
(石田智子様)
(石田智子様)
● ファシリテータは特別のなことをしなくてはいけないと思っていましたが、気張らなくてもOKということ。良い意味で気楽になれました。 (升本恵子様)
● ワールド・カフェをやってみたいと思っていたのですが、それが手段ではなく「目的」になっていることに気づかされました。参加者を置いてけぼりにするところでした。目的を明確にするところから再出発します。しげさんはじめ、みなさんの口調が安心感を与えるもので、ファシリの参考になりました。 (川崎環樹様)
● 「気づきの木」を見て気づきましたが、私も失敗事例が一番参考になりました。ファシリテータの空気、役割、事前準備、問いの重要性がわかりました。 (匿名)
● ファシリテータのあり方が参考になりました。三人三様、自然体。参加者が主役であることを学ばせていただきました。一つのワールド・カフェを開催するのには様々な準備があり気遣いがあるけど、その大変さを参加者に感じさせない。そんな空間を私も作ってみたい!そんな気持ちになりました。 (匿名)