Vol.46 格好をつけないコミュニケーション

先日、とある企業でリーダーシップの研修を実施しました。
そこで感じたのは、リーダーシップに求められるのは「格好をつけないコミュニケーション力」だということです。

リーダーシップというのはいきなり発揮されるものではなく、もともと持ち合わせているものでもありません。
どうやら他者との信頼関係によって成立するような気がしています。
多くの信頼を寄せられた人が「リーダー」として認められ支持されるのです。

この信頼を築くためには、明確な指示・命令・評価というロジカルな発信も必要ですが、一方でビジョン、希望、期待、感想、感謝といった想いや感情を伝えるためのコミュニケーションが重要なのです。
ところが、ビジネスにおいて、この想いや感情を伝えるコミュニケーションは発揮しにくいと多くの人が感じているようです。

感情とは喜怒哀楽であり、内にある気持ちや沸き上がってくる気持ち。
普段は自分の内に留めているそんな気持ちを素直に相手に発信できる人に、私たちは心を許せたり、心が震えたり、惹かれたりするのではないでしょうか。

小泉元総理は「自民党をぶっ壊す!」という表現で多くの人の注目を浴び、リーダーシップを発揮した人でした。
現職の自民党員であり総理候補ともなっている状況で、なかなか言える言葉ではありません。しかも、「ぶっ壊す!」という率直な感情が表現された言葉。
でも、本気で心の底から「良くしたい!」という気持ちをもっているからこそ飛び出した本音の感情の言葉だったのではないかと思います。
そういう言葉が人を引きつけるのでしょう。

ただしそれは、わがまま勝手に言いたいことを言うということではありません。前提として「相手の立場に立つ」ということも忘れてはいけませんし、まずは自分から相手を信頼する気持ちがあってこそだと思います。

リーダーだから。部長だから。監督だから。父親だから。先生だから。
そんな理由で格好つけていないで、もっと素直に自分のうちにある気持ちを言葉にすれば、私たちはもっとわかりあえて、もっといい関係を作っていけるんじゃないかと思います。

(DODパートナー:中川繁勝)