vol.82「『好きなことを仕事にする』という幻想」
先日、フリーのコンサルタントAさん(匿名)から、ある相談を受けました。
「好きなことをしたくてフリーになったが、全くそれができてる実感がない」と、、、
そのとき気になったことが、Aさんの口から繰り返しでてくる言葉でした。
「(今の仕事が)好きなことかどうかわからなくなってしまった、、、」
「(今の仕事は)自分に合ってると思っていたが、本当にそうなのか今となってはわからない、、、」
「この状態で次に何をしたらいいかわからない、、、」
「辞めるとしても、次に何をするか決めないと辞められない、、、」
Aさんが吐露してくれた悩みの言葉の数々には、「わからない」に代表されるように「○○できない」という思いが詰まってました。
そこで、私から投げかけた主な問いは、以下の2つです。
「そもそも今のあなたの好きなことって何?」
「その好きだったことは今も本当に好きなの?」
なぜなら、「好きなことを仕事にする」という喜びからの発想のはずが、「好きなことを仕事にしなければならない」という義務感による苦しみの発想に転化してしまっていたからです。
どんなときも、今この瞬間自分の本当に好きなことは何か?に素早く気づき、それを実践する。あとはやってみて、その都度、本当に好きなことか?夢中になれることか?を確認していくしかありません。
一連の流れから読み取れるのは、Aさんが「好きなことを仕事にしたい」という思いが強過ぎて、本当に実現したいことを見失い、苦しんでしまっていたという本末転倒の結果です。
「好きなことを仕事にしたい!」と考えてる人は、決して少なくありません。
過去の成功体験や様々な経験から得た知見は、もちろん有用ですが、それらに囚われてしまうと、本当に大事なことを見失ってしまうかもしれません。
大事なのは、今の自分が本当に感じていることは何か?であり、その自分に正直であることです。
世界がめまぐるしく動き続ける中で、どんなときにも揺るがぬ自分で正直にあることは、時代が必要としている力であり、社会全体のニーズでもあると感じています。
(DODパートナー:坂本敬行)