Vol.53 問いを考える

「問いを考えるのが難しい。」
ファシリテーター養成講座「ワールド・カフェのつくり方」で、毎回必ず挙がる声です。

問いを立てるということは、テーマについて考えるということです。つまり、ワールド・カフェでは、そのテーマについて参加者に考えてもらい、話してもらうための引き金となります。

・どんな目的で開催するのか?
・ワールド・カフェにどんな効果を期待するのか?

要件が明確であることは大前提ですが、「問い」次第でどんな方向にでも進む可能性があります。
問いが参加者にフィットしなければ、盛り上がっているように見えても、実は世間話をしていたり、テーマや問いからどんどん外れていってしまいます。

それは、場にあらわれます。雰囲気や態度を見れば一目瞭然です。ワールド・カフェは、基本を忠実に守れば誰でもすぐにできる手法ですが、問い次第で、質的な結果は大きく変わってくるのです。

さて、問いといえば、『経営者に贈る5つの質問』にあるドラッカーの「最も重要な5つの質問」が有名です。
- われわれのミッションは何か?
- われわれの顧客は誰か?
- 顧客にとっての価値は何か?
- われわれにとっての成果は何か?
- われわれの計画は何か?

これらの問いは、経営に携わる方が集まって話したら止まらない問いかもしれませんが、経営に関わっていない方は一切興味を感じないかもしれません。しかし、「5つの質問」に限らず、普段から何らかの問いを自分に投げかけていれば、問いを立てる力にもつながりそうです。

さらに、この「5つの質問」を、問いを立てる際に役立てることも可能です。

ワールド・カフェの問いを立てるには、"主催者が話したいことを問いにするのではなく、参加者が考えやすく、気づきやすく、話しやすいようにする問い"であることが重要です。

それを確認するには、立てた問いについて、まずは次のように自分に問いかけてみることです。

- この問いの目的は何か?
- この問いを話すのは誰(参加者)か?
- この問いが参加者にもたらす価値は何か?
- この問いからどんな成果が得られるか?
- この問いを使ってどのように進めるか?

これらの問いは、ワールド・カフェの設計の際にも役立ちます。ぜひ試してみてください。

結局、問いを立てる力を身につける最短の道は、日頃から考え、自らに問いかけているかどうかでではないでしょうか。問いについては、また折に触れて書いてみたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。

(DODパートナー:坂本 敬行)