コラム vol.115「観る目を養う」
ファシリテーターにとって、場を「観る」ということは、最重要といってもいいほど大切なことです。
誰がどんな風にそこにいるのか。
場で何が起こっているのか。
そして、同時に自分の内面はどうなっているのか。
思い込みや決めつけのフィルターをかけずに、できるだけそのありのままを観ることが、そのときその場に適した働きかけをするために必要です。
今年、少し違った角度からそんな「観る」ということを学んでいます。
一つは、絵を描くということを通して。
今年の5月に通った5日間のワークショップでは、対象のものをじっくり観ながら1秒で1mmずつの線を描いたり、対象ではなくその周りの空間の輪郭を意識して描いたり、影の中に光を描いていくなどを通して、ものを観る目を徹底して養いました。
描くというとどうしても、「手で」どう上手く描くかと思いがちですが、それ以前に「観る目」が重要なのだということをしっかり学びました。
おかげでその後は、毎日目にするものがとても新鮮に、細部まで鮮やかに見えてきて、今まで見えているようで、見ていないものが本当にたくさんあったんだなと気づきました。
もう一つは、写真を撮るということを通して、です。
今、毎週通っている写真教室では、撮影者が目で見たものを、できるだけそのまま現実にそこにあるように写真として再現するということを学んでいます。
そのときに重要なのが、その対象の「質感」や「形」です。
その「質感」を写し撮るために、そしてその「形」を活かすために、光を読んで明るさを調整し、焦点をあわせてと、今までカメラのオート機能に頼って撮ってきたものを、すべてマニュアルで調整しています。
そのことを通して、目の前の被写体の形や質感をよく観察するクセが身についてきました。
絵にしても、写真にしても、その学びの過程で確実に「対象そのものを観る力」が養われていると思います。
こんなふうに一見、異分野のことからも、場づくりに活かせることはたくさんあるんだなとあらためて思っている次第です。
(DODパートナー 大前みどり )