8/20(木)~3/18(木)毎月第3木曜日開催 哲学対話ファシリテーターのための『ケア』をめぐるシリーズ読書会(全8回)(オンライン開催)

「正解のない問い」の現場で、他者と共にあるための「ケア」の思想を耕す。


哲学対話のファシリテーションをしていて、あるいは日々の暮らしや仕事の中で、こんな「モヤモヤ」を感じることはありませんか?


「言葉に詰まっている参加者を『待つ』とき、自分は場で何をしているのだろう」


「他者のしんどい経験や重い語りに直面したとき、どうすれば相手の尊厳を守りながら共にいられるのか」


「社会の『自立・自己責任』という空気の中で、他人に頼ること、頼られることにどこか息苦しさを感じてしまう」


ファシリテーターは、場に安心感をつくると同時に、他者の思考のプロセスに伴走するガイドでもあります。相手をジャッジせず、その人らしさがひらくのを支えるこの営みは、現代の哲学や倫理学において最も注目されているテーマである「ケア(Care)」の本質と深く結びついています。


ケアは、単なる医療や福祉の技術、あるいは家族間の「地道なお世話」だけを指す言葉ではありません。それは、私たちが他者と誠実に向き合い、納得できる関係性を紡ぎ直すための「生の技法」であり、新しい社会のあり方を問い直す「政治思想」でもあります。


本読書会では、古典的な大著や難しい専門書ではなく、日常の地続きとして読める新書を中心とした8冊をガイドに、月に1回、全8回にわたって「ケア」の多面的な輪郭をじっくりと紐解いていきます。


本を読んで終わりにするのではなく、それぞれの「現場での実践や悩み」と「本の理論」を編み合わせる対話を行います。専門知識は必要ありません。社会の様々な角度からケアをとらえ、多角的・多視点から「ケアとは何か」を共に考えてみませんか?


🌟 本読書会で共に深掘りするポイント


「現場」と「言葉」から考えるケア: 医療や福祉、編集の現場の知恵から、他者の声を「聴く」こと、その関係性の中で自分自身も変容していくプロセスの意味を捉え直します。


「社会の歪み」と「当事者性」への眼差し: ヤングケアラーやグリーフケア(死別の悲しみ)、物語の力を通して、制度の隙間にこぼれ落ちる個人の痛みに寄り添うための想像力を養います。


「政治」と「哲学」としてのケア: ケアを私的な家庭の問題から「新しい民主主義の土台」へと拡張し、最終的には「人間が生きることの意味」という普遍的な哲学へと昇華させていきます。


※欠席の方のフォローのため録画をいたしますので予めご了承ください。視聴期限は各回終了後1か月までです。


【課題図書とスケジュール】

※電子書籍でも問題ありません。

■ 第1回(8月20日)『ケアと編集』白石正明(岩波新書)

精神医療や福祉の現場からユニークな本を送り出してきた編集者が、自身の経験から紡ぐ言葉の数々。「他者のバラバラな言葉を聴き、すくい上げ、ひとつの場をひらく」という編集のプロセスは、驚くほど哲学対話のファシリテーションやケアの営みと重なります。対話の土台となる「聴くこと」「場をホールドすること」の意味を、現場の視点から考えます。


■ 第2回(9月17日)『ケアとは何か 看護・福祉で大切なこと』村上康彦(中公新書)

効率性やマニュアルが重視される現代社会において、看護や福祉の現場で本当に起きていることとは何か?本書は、当事者たちの厚みのある語り(ナラティヴ)の分析を通して、数値化できないケアのミクロな本質に迫ります。「相手の固有の経験に耳を傾ける」とはどういうことか、その技法と哲学を学びます。


■ 第3回(10月15日)『ヤングケアラー 介護を担う子ども・若者の現実』澁谷智子(中公新書)

本来であればケアされる側である子どもや若者が、家族のケアを担わざるを得ない現実。この問題の背景には、既存の福祉制度の歪みだけでなく、私たちが無意識に他者に押し付けている「家族の役割」や「自己責任」の構造があります。生々しいケアの実態から、社会のあり方とその死角を問い直します。


■ 第4回(11月19日)『ケアの物語 フランケンシュタインからはじめる』小川公代(岩波新書)

文学作品は、古くから人間の弱さや孤立、そしてそれらに寄り添うケアの精神を描いてきました。メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』などを手がかりに、物語が持つ共感の力や「他者の痛みを想像する力」を探索します。ケアを制度論から、人間の生そのものの営みへと内面化させていく回です。


■ 第5回(12月17日)『死別の悲しみに向き合う─グリーフケアとは何か』坂口幸弘(講談社現代新書)

誰もが人生のどこかで直面する、大切な人との死別とそれに伴う深い喪失感(グリーフ)。安易な励ましや解決策が通用しない言葉にならない痛みの傍らで、私たちはどのように「ただ共に居る」ことができるのでしょうか。対話の場においても重要となる、傷つきやすさ(脆弱性)を受け止める作法を見つめます。


■ 第6回(1月21日)『ケアの倫理 フェミニズムの政治思想』岡野八代(岩波新書)

「人は誰もが、他者に依存し、ケアされなければ生きていけない」——自立した理性的な個人を前提としてきた従来の倫理学に対し、人間の本質的な依存性を出発点とする「ケアの倫理」。その核心的な思想を紐解きながら、私たちが日々の暮らしや人間関係を捉え直すための新しい視座を獲得します。


■ 第7回(2月18日)『ケアするのは誰か? 新しい民主主義のかたちへ』ジョアン・C・トロント(著)、岡野八代(訳)(現代書館)

ケアを私的な家庭や特定の労働の領域に閉じ込めるのではなく、社会の、そして「新しい民主主義の基盤」として捉え直したらどうなるでしょうか?政治学者トロントの挑戦的な議論を通じて、ケアを中心においた社会の構想や、市民としての責任のあり方をマクロな視野からダイナミックに考えます。


■ 第8回(3月18日)『ケアの本質 生きることの意味』ミルトン・メイヤロフ(ゆみる出版)

全8回の総まとめとして、ケア思想の古典的名著に向き合います。「一人の人間をケアするとは、その人が成長し、自己実現するのを助けることである」。他者を気遣い、その成長を助けるプロセスが、いかに自分自身の「生きる意味」を成就させるのか。これまでの対話と思考を包括する普遍的な哲学を味わいます。

【ファシリテーター】

大前みどり(ダイナミクス・オブ・ダイアログ代表)
経営管理修士(MBA)。人材育成会社で働いたのち、2009年に独立。ホールシステム・アプローチの手法を活用しながら組織や地域、学校における対話の場づくりを推進。2019年から哲学プラクティスを開始。哲学対話、哲学カフェ、こども哲学、本質観取、ソクラティク・ダイアローグなどの他、対話型鑑賞やLEGO®SERIOUSPLAY®と哲学対話を組み合わせるなど、様々なアプローチを実践。企業、学校、地域、美術館、カフェなどで哲学対話や哲学対話研修を行う他、対話力向上のための聴く・伝える・問う・考えるトレーニングを主催している。

開催日時2026年8月20日(木)、9月17日(木)、10月15日(木)、11月19日(木)、12月17日(木)、2027年1月21日(木)、2月18日(木)、3月18日(木)
毎月第3木曜日 19:30~21:30(全8回)

※欠席の場合、後日アーカイブでご覧いただけます。視聴期限は1か月です。
会場Zoom会議室
定員各回10名程度(最少催行人数3名)
参加費Peatix経由でお申込み、お支払いください。
通し参加 8,000円、単発参加 1,200円
キャンセル規定開催4日前までは全額返金いたします(お支払い方法によっては返金の際に手数料が発生する場合があります)。
開催3日前以降のキャンセルは、返金致しかねます。予めご了承の上お申込みください。
お問い合わせダイナミクス・オブ・ダイアログ(DOD)事務局