Vol.61「空間を感じる」
私は、昔から人の流れや動きを眺めるのが好きです。
ときどき疲れるので無理はしませんが、全体から伝わるダイナミックな情報は常に今ここを感じさせてくれます。
この自然な行為が、空間認識能力を高めてくれます。
空間認識能力とは、物体の位置・方向・姿勢・大きさ・形状・間隔など、物体が三次元空間に占めている状態や関係を、すばやく正確に把握、認識する能力のことです。 (出典:ウィキペディア)
現代人の空間認識能力は衰えていると言われています。
それは、日常的に長時間のスマホやPC、TVの二次元情報に視覚的注意を向け続けることで、周囲や人に視点を切り替えて、注意を向けるのが難しくなっているからです。
特に、ながらスマホは、深刻な社会問題です。
最近、ながらスマホ、歩きスマホは、深刻さを増しているように感じます。
歩きスマホによる事故件数や救急搬送は、この5年間で増加の一途だそうです。
スマホに限らず、他にも昨年千葉で起きたイヤホン自転車死亡事故などもあるように、イヤホンやゲーム機なども同様です。
先日、最寄りの駅構内で、急に若い男性に呼び止められてクレームをつけられました。
どうやら彼の主張は、私が降車する際に、扉横で待っている彼のスマホにぶつかって落として画面が割れたというのです。
しかし、当たった感触もなければ、後方で何か音がしたときには随分距離がありましたので憶えがありません。
おそらく当たったとすれば、後ろの荷物をたくさん持った女性ではないかと推測しますが、それはさておき。。。
ここで注目したいのは、彼が降車する人たちにまったく注意を向けていなかったということです。
それどころか扉が開いて、人が降り始めても頭を下げているのが視界に入っていました。
その時点で、彼は降車する側に目を向けず、注意がほぼ0だったので私は少し避けたのです。
同様に、日々の電車内を見ても、多くの方が頭を垂れてスマホをいじっています。
最近は、スペースがあろうとなかろうと、満員電車でもスマホ、ゲームをいじり続けている人も少なくないですね。
電車内の風景は、コミュニケーション不全やセクショナリズムのある仕事場をそのまま表していると言っても過言ではありません。
つまり、お互いに目も合わさず、注意を向けることなく、日々が過ぎていくならば、それは電車内のギスギスした雰囲気になっていてもおかしくありません。
このように、私たちは、かつてないほど欲求不満やストレスの要因を日常に抱えていると言えます。
日々の挨拶や声がけ、お互いに目を合わせて話す、周囲で何が起きているか視覚的に眺めてみる、こういった当たり前の行動を繰り返し、空間認識能力を日常的に高めれば、より良い職場づくりにつながっていくはずです。
(DODパートナー:坂本 敬行)