Vol.56 どんな螺旋を描いているか?

以前はお正月といえばいろいろ出かけることが多かったのですが、ここ数年は箱根駅伝を楽しみに新しい年を迎えています。

今年は王者青学の圧倒的な強さに「見ごたえがなかった」という声もネット上で多く見かけました。
それでもひたむきに走っているランナーの姿や各校の襷のリレーには、胸や目頭が熱くなる瞬間が幾度となくありました。

そんな駅伝の魅力は数々の記事にゆずるとして、今年のお正月は、久しぶりにゆっくり本を読む時間をとることができました。

ほとんどが仕事に必要な、もしくは参考となる書籍ですが、日々いろいろな締め切りや納期に追われている感覚から解放され、読書の喜びみたいなものをじっくり味わえる時間でもありました。

さて、そんな中でとても印象に残った文章があります。
これは、一橋大学名誉教授の野中郁次郎先生とジャーナリストの勝見明さんの『全員経営』という書籍に書かれていた一節です。

-----------------------------------
地球は太陽の周りをまわっています。
太陽系は銀河系のなかにあり、太陽系自体も銀河系のなかを移動しています。
つまり、地球は太陽のまわりを一年周期で回って元の場所に戻ってくるのではなく、螺旋を描くようにスパイラルな動きで宇宙を移動しているのです。
-----------------------------------

これは組織の中でどんな風に知識創造が行われているかを例えるための解説にあたる部分ですが、言われてみれば多くのことに同じ考えが当てはまるなあと思いました。
毎年繰り返していることであっても、決して同じことの繰り返しではないのだなと改めて実感したのです。

例えば、毎年箱根駅伝を見ていても、去年と同じお正月というのは存在しません。
全員がまったく同じランナーによる箱根駅伝もありえませんし、たとえ同じランナーであったとしても、一人ひとりが一年分の成長をしています。
レースも毎年異なる展開やドラマが生まれます。
そして見る方も、一年分の時や経験を経て迎えるお正月には、それぞれ一年分の変化があります。

よく、人の成長は直線的なものではなく、螺旋状と言われます。
それは地球や太陽系の動きになぞらえれば至極当然のことに思えます。

周期やスピードは人によって様々でしょうし、地球が自転をしながら太陽の周りを公転しているように、日々小さな螺旋を描きながら大きな螺旋を描いているかもしれません。

そんな風に少し俯瞰して自分の人生を眺めてみることは、案外おもしろいかもしません。

自分はどんな螺旋を描いているのか?
そしてどんな宇宙を移動しているのか?

それは言い換えると、日々どんな習慣で生きていて、どんな流れの中にいるのか?と言えるのではないでしょうか。

2016年、自分の描いた螺旋に誇りを持てるような1年を過ごし、来年の箱根駅伝のランナーたちを応援したいと思います。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

(DODパートナー:大前 みどり)