コラムvol.135「異質と出会うことで自分の当たり前に気付く」
現在、東京の有楽町駅近くのSusHi Tech Squareで、「人間 ✕ 自然 ✕ 技術 = 未来 展」が開催されています。
「人間✕自然✕技術=未来」という問いに対して、様々なクリエイターや企業による自然・環境への“新しい没入体験”ができる作品が展示されています。

百聞は一見に如かずなので、ぜひ実際に体験いただきたいのですが、なかでもVRを使って日本列島の上空を飛行する体験はとても新鮮でした(少し怖くて足に力が入ってしまったのか、翌日、筋肉痛になりました笑)。
VRの世界では自分という輪郭がほどけていくというか、「あれ、自分で思っている自分ってなんなんだろう?」という不思議な感覚になります。他にも展示をみながら、「あれ?自分にとって当たり前に思っていたことって本当に当たり前なんだろうか?」という気持ちになってきます。
毎週金曜夜には、そんなふうに湧いてきた問いを持ち寄って哲学カフェが行われています。期間中の全11回のうち、私も3回ほど進行を担当しました。ほとんど全員が初めましての一期一会の対話の場は、お互いに社会的な属性を何も知らないまま、ただただ共に問いに向き合っていきます。問いの前には私たちはみんな対等で、お互いの考えを静かに聞き合います。
哲学対話を進行するたびに思うことですが、特にこういった公の場で行うと、こんな風に耳を傾け合う場がもっともっと増えたらいいのにと切に思います。
社会から規定された属性や自分が自分や他者に貼ったラベル。
私たちはいろいろなものにいつの間にか縛られてはいないでしょうか。
見知らぬ他者に出会うこと、異質に出会うことで、実はいつの間にか持ってしまっていた当たり前が見えてきます。
いつの間にか身に着けてしまった当たり前という偏見やバイアスや思い込み、そういったものから解放されたとき、私たちは何を感じ、何を考えられるようになるのでしょうね。
その「解放される感じ」が、私が哲学カフェに抱く希望の1つでもあります。
見知らぬ他者との出会いを通して、自分の当たり前を見つめなおしてみませんか?
哲学カフェ関連のイベントは毎月開催していますので、ぜひ一度遊びにいらしてください。
(DODパートナー 大前みどり )