コラムvol.134「ロールモデルはいた方がいい?」

先日、法政大学経営学部の長岡建先生のゼミ「カフェゼミ」に参加させていただきました。

長岡ゼミでは、「創造的なコラボレーションのデザイン」というテーマを掲げ、街の中でオープンゼミを展開しながら、「創造的な対話の場づくり」にチャレンジされています。

多様なゲストスピーカーを迎え、社会人と学生が対話を楽しむカフェゼミは、自由な雰囲気をもつインフォーマルな場であると同時に、見知らぬ他者との出会いや交流を生み出すパブリックな場であることを目指しているそうです。

先日のゲストスピーカーは、キャリアコンサルタントの柴田朋子さん。リクルートから市役所職員、キャリアコンサルタントというキャリアチェンジの背景にどんなストーリーがあったのか。軽快にユーモアたっぷりにお話してくださいました。

女性社員がお茶くみをすることや、2~3年働いたら寿退社するのが「普通」と思われていた時代に、入った会社で初の産休を取ったり、子育て支援などがまったくない中で小さな子2人を育てながら働き続けたり、異なる業界に転職したり、安定した給料を手放して独立したり。柴田さんがそのときどきにどんなことを思い、考えていたのか。

そういった話を、これから社会に出る方々はどんな風に受け止めて、何を思うのか。

とても興味深い時間でした。
お話を聴きながら、自分のストーリーも立ちあがってくる感じがしてきました。自分はどうだったかな?ロールモデル的な存在はいたかな?と。

私自身も2人の子供はすでに成人していますが、まだ子供たちが小さかった頃は、子供のいない人や男性社員と同じように働けるようにかなり無理をしていました。
そうしたくてそうしたというのではなく、それが「普通」だったので、しかたなくそうしていたという感じです。

当時ロールモデルがいたとしたらどうだっただろう?
例えば同じような境遇の先輩がいたとして、働きやすくなっただろうか?

たしかに自分にとっての「普通」が変わることはあり得たかもしれません。
一方で、あの人はできているのに、自分ができないのは、自分の能力が低いからだとか、自分の努力や根気が足りないからだという思いにさいなまれていたかもしれません。

そもそもロールモデルってなんなんでしょうか?
ロールモデルはいた方がいいのでしょうか?
みなさんはこれまでのキャリアを振り返っていかがですか?

キャリアカウンセリングの大家、サビカスは著書「サビカス キャリア・カウンセリング理論」(福村出版)のなかでこう述べています。

>「ロールモデル」の深い意味は、人が自分自身を設計するために使う青写真または原型である。(中略)そして、モデルの特徴を自分の特徴となるまで適用し、練習することで、その自己を築くのである。

>ロールモデルは、人が自分のアイデンティティを伝え、形成するために活用するイメージの源である。

「こんな人を見本にしてくださいね」と会社から用意されるような人や、社会で賞賛されている人を形式的にロールモデルとするのは、何か違っていそうですよね。

自分にとって力になるような、困ったときの心構えのヒントが与えられたリ、こんな風に生きていこうという指針となるようなロールモデルは、生きていく上での支えになりそうです。

そして。
ロールモデルは別に1人じゃなくてよさそうです。
アベンジャーズのように、たくさんのロールモデルを自分の中に置き、そのときどきでその人の力や知恵を借りるようなイメージで物事に向き合っていくと、いつの間にかそれが自分自身の性質になっていくのかもしれませんね。

これからしばらく、ロールモデルを意識して過ごしてみたいと思います。

※ちなみに、次回のカフェゼミは6/27(木)「サステナブルな挑戦者のキャリア・ストーリーを聞こう」、渋谷ヒカリエで開催だそうです。ご興味のある方はぜひ。

https://cafezemi61.peatix.com/event/3954278/view

(DODパートナー 大前みどり )