【レポート】11/2~3 対話の場づくり実践シリーズ「チーム☆ファシリテーション 〜メンバーの共創を促す働きかけ〜」

開催概要

●タイトル: チーム☆ファシリテーション〜メンバーの共創を促す働きかけ〜
●主催  : ダイナミクス・オブ・ダイアログLLP
●日時  : 2014年11月2(日)〜 3日(祝・月)
●場所  : 東京体育館 第4会議室
●参加人数: 7名
●ファシリテーター: 折口みゆき(DODパートナー)

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ファシリテーションをテーマにしたワークショップが2日版に充実して再登場しました!
3連休のうちの2日を使い、なおかつ初日は秋晴れに恵まれた天候でのスタート!
さて、どんな2日間になりますやら。

【はじまりはいつも「チェックイン」】

今回の参加者は7名。2テーブルでスタートしました。
まずはチェックインを兼ねた自己紹介で場をほぐします。みなさん素直に自分の気持ちや状況をシェアしていたので、一気に安心な場ができていたようです。それぞれの仕事がわかったり共通点が見えたりすると、安心感は高まるものですね。

今回のテーマはチーム・ファシリテーションですからただのチェックインでは終わりません。
その後はこのチェックインがどう使えるのか、どんな効果があるのか、進行役を決めてグループ対話がスタートしました。

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気持ちの面での効用、身体的な効用などの共有とともに、「チェックインをやってみたけどうまくいかなかった」という経験もシェアされました。
また、会議の性質に合わずうまくいかなかった、組織の風土に合わずうまくいかなかった、という経験もシェアされました。
チェックインをする時には、その意図をしっかりと理解していただいて入る必要がありそうですし、組織のコンテクストを考慮せずに形だけやってみてもうまくいかないということなのでしょう。

【チェックインとアイスブレイク】

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その後は自然な流れの中で全員で知り合いになれるようなワークやクイズなどが進んでいきました。

ここまでの場を振り返る中で、「チェックインとアイスブレイクはどう違うんですか?」という質問が出ました。
なるほど、これはあまり意識してきませんでしたが、なんとなく使い分けていました。
それぞれ、使うタイミング、意図があると思います。なんとなくの流れではなく、「なぜやる必要があるのか」「場をどうしたいのか」を自分に問いかければ、必然的に答えは出てきそうです。
チェックインとアイスブレイク。うまく使い分けていきたいですね。

【問題解決演習】

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さて、ここから本格的にファシリテーションの演習が始まります。まずは6人がひとつの問題解決に取り組みました。お一人はオブザーバーとしてファシリテーターの視点から6人の発言と動きを観察しました。
6人それぞれの持っている情報を口頭で伝え合って共有し、答えを探す、という内容のワーク。
制限時間は30分。
頭に「?」を浮かばせながら始まった問題解決は、徐々に方向性を見つけつつ、最後は見事に回答にたどり着き問題解決を果たせました。

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さて、振り返りでは、各人がこの問題解決作業の中でどう動いていたかを共有。オブザーバー役の方からは具体的に何分経過後に○○さんからこういう発言、その後こんな動きに、というように客観的視点ならではの情報共有をしていただきました。
結果的に、個人のあり方、いつもの行動パターンが現れつつも、ファシリテーターとしての改善アイデアも出現していました。

ここでは困った人についての対応についてもみなさんで意見共有していきました。

  • 自分の利害だけをいう人
  • 否定ばかりする人
  • 肯定派ばかりの場だったら?

と、それぞれの現場で抱えている課題をここでそれとなく出して問題解決の糸口を探っている人もいたようですが、同じ仲間としてみんなで意見を出しあいながらヒントを見つけていきました。

とはいえ、この時点ではすべてのシーンでのファシリの課題は解決されず、今後の内容も踏まえて消化していこうと言う事になりました。

【車座対話】

実は、問題解決演習での振り返りは「車座」で行われました。
今回は会議室前半分のスペースに島形式で、後半分にはイスが円形に並べられていましたのです。

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車座になったことについてもみなさんで共有。

  • 机があると自分の領域が決まっていて守られている気がするが、机がないので不安。
  • 私はこういうのが好き。
  • 怖い。
  • 見透かされている感じがする。
  • ひざ掛けがあるだけでも安心する。

と反応は様々。
これも意図に合わせた場づくりの一つ。車座にする事で距離が縮まり、それぞれの顔が見えて話しやすくなるという効果はあると思います。
しかしながら一方で、顔が見えてしまうからこそ言えない人もいるんだということも確認できました。場の状況や参加者の特性に合わせて使う必要がありますね。また、敢えて違う環境にする事で思考を切り替える、視点を変えるなど、意図をもって使いたい手法ですね。

【懇親会】

ご都合でお一人が参加できなかったものの、6人の参加者の皆さんとファシリテーター&スタッフ(私)の8人で初日終了後に懇親会を開催。

違うテーブルでゆっくりお話できなかった人もここで深いお話が出来ました。加えて、それぞれのキャラクターも炸裂!本音も飛び出しますし、あの場では言えない話題も数々交わされました。

物理的に場が変り環境が変わると、お互いの距離感、関係性にも変化が現れます。
多くの人が欲しているのはこの懇親会のようなリラックスして本音で気楽に話ができる場なのではないでしょうか。でもそれができない。

ひとつの理由には、懇親会には「目的」が明確に設定されていないということが大きいのかもしれない、と感じました。懇親会にも「仲良くする」という目的はあるのかもしれませんが、とてもゆるい。懇親会で話していると、話の方向性は自然に現れ、そして結論に向かってそれぞれが自由に話す。だからこそ多様性も生まれ、受け入れ、既成概念にとらわれない話も出やすいのかもしれません。もちろんお酒の力でそれが増強されている部分もあるとは思います。

私自身、大事だと思っていた「目的」が、実は対話の質を高めるブレーキにもなりえるのではないか、という仮説をここで感じました。

【 2日目オープニングの場づくりにチャレンジ!】

さて、今回は2日版ということで、まだまだ続きます。

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2日目のオープニングは参加者のカズさんによる15分間のファシリテーションチャレンジ!
人懐っこい笑顔を武器に明るい雰囲気のカズさんは、2日目でお互いの距離感をより近づけ、仲良くしてもらうために、美点凝視+プレゼント(改善のアドバイスの意)のワークを進めました。お互いに相手のいいところを見つけて伝え合うこのワークは、自然に笑顔が生まれると同時に、お互いの距離感も縮めてくれるワークです。

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その後、折口ファシリテーターにバトンタッチ。
各グループで①よい点②改善点③カズさんはどんなファシリテーターか、を7分で話し合い。
このときカズさんは後ろの席で双方の話に客観的に耳を傾けます。
再び前に出て双方のグループで話し合ったことを受けたファシリテーターのカズさん。
発見と反省の面持ちでみなさんの言葉に耳を傾けていましたが、持ち帰る部分がいろいろあったようでした。

【 合意形成】

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追加するプロジェクトメンバーの選任をテーマに合意形成の会議のファシリテーションです。
ある参加者の抱えている「発言を遠慮する会社のメンバー」という設定をみなさんでリアルに再現しつつ、いかに参加者に意見を出してもらい合意形成するか、に挑戦してもらいました。
ファシリテーターはこの問題を抱えているご本人です。

最初のうちは沈滞したムードで進むものの、最後の方には数名のメンバーからポンポンと意見が出てくるまでに場に変化が現れてきました。合意形成には、話し合っている内容はもとより、見えない背景情報も含めての情報共有が必要。会議参加者のそんな見えない情報共有が進んだ結果、参加メンバーからの発言も増えたようです。

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その後の振り返りの場ではファシリテーター本人からも改善点が提示され、周りのみなさんからも改善のアドバイスが出されました。
「職場の会議進行のヒントをつかめた。自社で活かせそう。」とファシリテーター本人からコメントが出ていました。よかったですね。

【 ディスタンスワークをどう活用するのか】

そんなテーマでアイデア出しの会議。そこでお一人がファシリテーション。
その後にそのアウトプットをもとにディスタンスワーク使ったファシリテーションを、二人目の方が担当しました。

ディスタンスワークとは前日にファシリテーターの折口から示された意識共有や情報共有のためのワークのひとつ。
ワークはうまく使えば有効に働きますが、ただ面白がっているだけでは意味がありません。どんな意味づけをするのかを話し合う会議を二人目の方にはファシリテーションしてもらいました。

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このときのファシリテーションは、自分の問題解決のために会議メンバーから意見を引き出し、自分の中で納得していた印象でした。残念ながら場を活性化したり参加者の参加意識を高めるというよりも、自分の問題解決に急いでしまったようです。成果としては短時間で結論もでたのでOKですが、ファシリテーションとしては場が置き去りになっており、参加メンバーの納得感はあったのかな?という疑問が残りました。頭の回転が早く仕事ができてしまう人ほど、こういう進行になってしまうのではないか、というのが私の仮説です。

あくまでも、場を、そして場にいる参加者をどう活性化して、前進する力に変えていくか。それがファシリテーターに望まれることだとすれば、センスよく情報を処理して先の結論を考えていける人ほど、進行に注意が必要そうです。

【 私の悩みを会議で解決】

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時には自分で進行もしながら、自分のあるいは自分たちの問題を解決するような会議もあるでしょう。
ここではそのような会議の設定でファシリテーションを始めました。

何でも参加者に委ねて「考えてもらう」、というスタイルのファシリテーターでした。
振り返りでの本人曰く「全然ファシリテーションになってない」とのこと。大きな枠組みをとらえ、大きな視点で場を押さえられていなかった、というのが反省点。

こうすればいい、というのは頭でわかっていても、やはり経験してみないとわからないこともたくさんあります。そういう意味では今回のワークショップで、全員がファシリテーターを経験して振り返って、というプロセスの中で、改善のヒント、自分のスキルとして改善点などなど、たくさんお持ち帰りいただけたようです。

【最後は再び車座に】

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2日間の振り返りは、みなさんで再び車座になって行いました。
2日間とはいえ、濃い時間を過ごした皆さんはそれぞれに仲間意識が生まれていたようでした。
笑いあり、涙ありの振り返りの時間が、それを物語っていたように思います。

一口に「ファシリテーター」と言っても、それぞれの組織と役割の中で求められるファシリテーションのスタイルは違ってきます。ですから、一般的な知識とスキルだけでは太刀打ち出来ないこともある。
それを、様々なシーンに合わせた演習体験を通して、客観的なフィードバックを交わしながら進むこの2日間は、共感と進化が折り重なり良い時間になっていたように思います。

みなさん、ご参加ありがとうございました!

【参加者の声】

  • 全員参加型のワークであり、知識習得でなく体感型であることで、自身がファシリテーションを進めてゆく中で大変役に立つと感じました。
  • 体験後の振り返りの時間がしっかりとられていたのが、気づき、発見につながりました。
  • 各参加者の特徴・課題へのつかみがためになりました(視点、内容)。本人はもちろんですが、他の参加者にも参考となります。他の参加者からどう見えているか、どう感じてもらったかがすべてと思います。
  • プログラムが充実!参加メンバーに合わせて柔軟に変えてくれた。でも知識・スキルとして伝えるところ、フィードバックもしっかりで、バランスが素晴らしいと思った。
  • 「うまくやろう」という気持ちを捨てること。自分に矢印を向けるのではなく、常に受講者に向ける。
  • 対話から生まれる触発の力を改めて感じた。ファシリテーターとしてこの触発の数を増やしたい。

(DODパートナー 中川繁勝)