最初にダイナミクス・オブ・ダイアログ(DOD)代表の大前から今回の趣旨についてご説明と挨拶をさせていただきました。

「私たちDODは対話の機会を増やすため、場を創ると同時に、ファシリテーター養成にも力を入れてきました。それらの講座の中で"対話"について語るとき、平田オリザさんの著書を参考にさせていただいたこともあり、いつか平田オリザさんをゲストに迎えワークショップを開催してみたいと考えていました。その夢が実現したのが今回のワークショップです。
しかし、開催までは紆余曲折あり、1週間前の開催決定となりました。直前だったのにもかからず、募集を開始してから24時間以内にワークショップ枠は埋まり、急遽オブザーブ参加を設定し、全員で60名の皆様方々が参加申込をしていただきました。」
スタッフにとっても、念願叶った講座です。今回のワークショップでは、DOD総出でサポートさせていただきました。

企業や様々なコミュニティの中で、対話の場をもたれているリーダーやファシリテーターの方々が多く参加されていました。現場で活躍されていらっしゃる方にとっても、平田オリザさんが様々な著書で語っていらっしゃる"対話"について、興味・関心が高いということが分かりました。また、対話をリードされている方々だからでしょうか。最初から大いに盛り上がり、楽しく対話されている様子が印象的でした。

今回のワークショップは、リーダーやファシリテーターの参加者が多いことから、ワークショップを行いながら、解説を加えるというメタワークショップの形態で進めていただきました。
《コミュニケーションワーク》
ファシリテーターが質問した問いに、皆が答えていく、声を出し身体を動かすワークからスタートです。「好きな色は?」「好きな果物は?」「行ってみたい国は?」などを問いかけられます。参加者はお互いに声を掛け合いながらワイワイガヤガヤとグループに分かれます。
その後「男女が混ざってくれない中学生の場合はどうする?」などファシリテーターが進行する時の問いかけと解説も同時に行なわれます。
「ファシリテーターは柔軟性が一番大切。ワークショップ参加者の履歴を大切にすること。また、プログラムに縛られないこと」という言葉が印象的でした。
《身体から信頼関係をつくるワーク》

次に身体を動かすワークを行ないました。ペアで背中を合わせて座った状態から立ち上がるワークや、3人1組になり、そのうちの一人が前後に倒れ相手にもたれかかるワークです。
ここでは、このようなワークを自己目的化してしまい行き過ぎたものにしないことを注意喚起されていました。
《1〜50のカード》
1〜50のカードを配り、数字の大きさによって架空の趣味を設定します。数字を訊くことなく、近い数字のペアをつくるようにという指示で動きました。
人によって言葉のイメージが違うこと、基準が違うこと。また、表面的な会話では相手の背景や状況(コンテクスト)まで共有することが出来ないことを理解しました。
《キャッチボール、長縄跳び》
キャッチボールや長縄跳びをしながら、人がイメージを共有しやすい事象としにくい事象を理解していきます。演劇の手法ではイメージしやすいものからイメージしにくいものへ段階を経ることが重要なのだというお話でした。またイメージしにくい最たるものが「人の感情」であり、その感情が共有できた時に人は感動するということは、参加者が大きく頷いていた箇所でもあります。
《演劇体験》

最後は、セリフを使いながらのワークを行いました。セリフを自然と言える状態をつくるのが演出家であり、セリフを自然と言えるためには、セリフを言い合う相手との関係性と場にアプローチするという考え方がとても新鮮でした。
《質疑応答》
最後は平田オリザさんへの質問です。
多くの国々で教えているオリザさんならではの回答は、納得感も高く、参加者から「なるほど〜」という声や深い頷きが会場の至る所でみられました。
あっという間に3時間のワークショップが終了しました。
おわりに
感想を拝見すると、ワークショップ参加の方もオブザーブ参加の方も、それぞれに多くの学びがあったようです。
反響が多かった平田オリザさんのワークショップは、今後もDODで主催していこうと考えております。決まり次第告知をさせていただきますので、ぜひ楽しみにしておいてください。