Vol.38 雨時々くもり、のち晴れ

春になり、人材育成という職業柄もあって多くの新入社員たちと関わることが多い。
まずは考える力やコミュニケーション力というようなビジネス基礎スキルをみがくのが私の役割だ。

コミュニケーションを分解すると、インプット、思考、アウトプットで成り立っている。

こと、アウトプットという点において、新人にまず求められるのが報告・連絡・相談。
いわゆる報連相。

最近は、この報連相がままならない新人が目立つ。
うまく話せないので何を言っているのかよくわからない。
言っている本人でさえよくわからなくなる者もいる。

彼らは頭のなかにあるぼんやりした情報を適切な言葉にすることが苦手なようだ。

しかも、間違いたくないとか正解しなければならないという固い意識が拍車をかけ、
カッコつけた言葉を使いたがるから、的を射ない抽象的な表現に留まってしまう。

また、マイナス方向に向かってしまう人の特徴としては、
言葉を出すことにブレーキを掛けたり話すことを諦めてしまったりする。

実りのある対話をするためには言葉を交わし合う必要がある。
自分の中にあるぼんやりしたことを相手に伝える必要がある。

素直に感じたことを浮かんだ言葉で伝え合うことが、対話の質を上げるのだと思う。

「カッコつけずに、ぶっちゃけどういうことか言ってごらん」と言うと、
いい言葉が返ってきたりする。

なんだ、言えるじゃないか。
こちらとしては少し希望が見えたりする。

というように、この時期は、リラックスして考えカッコつけずに
素直な言葉で話してもらうために、日々彼らの社会人風の鎧を脱がすことに苦戦している。
うまくいったりいかなかったり、こっちがよければあっちがダメで、という具合。

私の心模様はまるで春のお天気のように、変わっていく。

(DODパートナー:中川繁勝)