コラム vol.122「よい問いが生まれる"ところ"」

先日、「ワールドカフェ開催のための入門講座」を開催しました。

台風経過後の都内の交通状況大混乱の中、数名の方以外は、若干遅れつつもみなさん無事に会場に到着することができ、予定通りの時間で講座を実施することができました。まずはそのことが本当にありがたかったです。

さて、講座では、短い時間ではありますがワールドカフェを体験していただいた上で、実際の事例に基づいて、ワールドカフェの問いを作るという演習を行います。

本来であれば、限られた時間での演習なので、問いのたて方のポイントやパターン化されたフレームなどをお伝えしてしまった方が、早いといえば早いのですが、そうすると陥りがちなのが「問いを作ることが目的化してしまう」ということです。
「問い」はあくまでも「目的」に向かうための「手段」です。

ですので講座では、「何のためにワールドカフェを実施するのか?どんな人がそこに参加するのか?そして目的のためにどんな問いかけが必要なのか?」を丁寧に考えていただくということを大切にしています。

そしてもう一つ、大事にしていることがあります。
それは「違いの中から見つけていく」ということです。

演習ではいつも、グループで話し合いながら問いを作っていただくわけですが、まったく異なる背景(コンテクスト)の方々が集まっているので、そうそうすんなりいきません。

いつもいる現場の雰囲気も違えば、使う言葉も違う。
今後ワールドカフェを実施する際の参加者の人たちも違う。

だからこそ、お互いに

・その人の考えたこと
・なぜそう考えたのか
・その考えはその人のどんな経験や思いとリンクしているのか

などを丁寧に聴きあう必要があります。

お互いに丁寧に聴き届けることができたあと、一人ひとりの中に新たに湧いてきたことをさらに共有する。
そしてそれもまた聴きあう。

丁寧にその対話の編み込みをしていくと、探している答え(問い)らしきものが場の中心に浮かび上がってくる。
その体験こそが、共同で問いを考える核心だと思っています。
言い換えると、個々人の中にというよりも、それぞれの違いの中に、たくさんの可能性が含まれているということです。

効率が求められる風潮の社会にいる私たちは、スピーディであることが善であると無意識に刷り込まれていることも少なくありません。
そんな社会では、違いの中に内包されている可能性が、どうしても見過ごされているような気がしてなりません。

組織の中などで、対話の場と掲げながらも、よく目撃するのは、

その人の一部の発言を聞いてわかった気になっていたり
相手の意見も踏まえた風に見せて、自説を主張していたり
それで対話をした、よい対話ができた、と思っていたり
というとても悲しい状況です。

本当によい問い、考え、アイデアが生まれるようにしたければ、いつもより何割増しにも、お互いの話を聴くことが、一番の「投資」ではないかと思うのです。

今回の講座では、参加者の皆さんがお互いにしっかり聴きあって、力強い問いが生まれていました。
こんな場を、あらためてもっと増やしていきたいと思うのでした。

10月には、話すと聴くを丁寧に行っていくワークショップも開催します。

「リフレクティングのプロセスを活用したグループ・ダイアローグ~創造的な内的対話と外的対話の体験~」
http://world-cafe.net/event/post-120.html

他者の声だけでなく、自分の声もまた、深く聴く体験ができると思います。
ご興味のある方はぜひご検討ください。

(DODパートナー 大前みどり )